
H-D FLH 1968
ROGUERIES METAL WORK
直感的に射抜く
百戦のスナイパー
四兄弟すべてサーファーであり、長男以外は皆チョッパー乗りである。前回の四男のバイクに続いて、今回は次男のそれである。もちろん製作は宮城県の『ログリーズ』。東北随一のハードコアで鳴らしてきた齋一家による満身のチョッパーだ。
「ウチの弟のを見てカッコいいなって。で私もログリーズで作りたいと思ったのがきっかけですね。それで、『先輩にだったらこれに乗ってもらいたい』と薦められたのを見てもう一目ぼれでした」
どしりと落ち着いた雰囲気に加えて、折り目正しい所作が板についた次男の天野さんに相応しい一台を齋さんは提案した。それは、ロングフォークだけどコンパクトでガンガン走れるチョッパー。
更に、不良性がにじみ出たいかつさを併せ持ったスタイリング。この、『ログリーズ』が得意としたチョッパーマナーは、天野さんの内深くに眠った拍動とリンクし、掛け算的に相乗し合い完成度を高めていった。
パンヘッド純正フレームに、16インチオーバーのデンバーズ製スプリンガー。ハンドルは同店のアイコンともなるTバーである。「乗ってこそのチョッパー」だというのを熟知したビルダーにより吟味されたディメンションにかかれば、取り回しは実に軽やかで、操作性のよさは容易に想像がつく。
また乗車姿勢への配慮も抜かりなく、ステップやハンドル位置を乗り手に合わせて調整し、その走る光景を見た人が思わず見惚れてしまうような姿の構築にもたっぷりと情を注ぐ。「乗った感じも、止まってる姿もカッコいい」は齋さんの犯しがたい積年のマイルールだ。
ほとんど先輩の意見は聞いてないですと、齋さんは笑顔を弾けさせる。ひいては、それを受け止めるオーナーとの間に流れる空気感もなんともなごやかだ。しかし、互いを認め合うからこそ生まれるこの信頼関係は一朝一夕にできるものではなく、腰を据えて相手を洞察し、理解することで初めて成り立つもの。
「カッコいいバイクを作るって分かってるんで完全お任せでした。見た目もやっぱりロングフォークで、みんなに乗りにくいんじゃないのって言われますけど全然そんなことはない。逆に私は乗りやすいと感じます」
きっと齋さん的に小難しいことは一切考えてはいないだろう。でも、人一倍感受性の高い氏は、無意識に誰よりもイメージを膨らませ、相手にとってベストは何かを直感的にとらえているはずだ。そしてその感覚は常に研ぎ澄まされ、オーナーのハートをぷすりとやってしまう。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1968 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークは16インチオーバーのデンバーズ製スプリンガーを装着。ハンドルにはログリーズ特有のTバーをセット。
GAS TANK
名品ハマータンクをフレーム上にハイマウント。グラフィックには同店オリジナルのフレイムスが描かれた。
ENGINE
オレンジの骨格の中央に鎮座するショベルヘッドモーター。エンジンロッカーやカムカバーには彫金が入る。
MUFFLER
マフラーに2イン1のフーバーを選択。ロングフォークに合わせたこのショートデザインが通なセットアップ。
SEAT
ロングフォークにこのガンファイターを合わせてくる当たり舌が肥えている。BMC × Corbin製シートを装着。
REAR FENDER
リブドフェンダーにもログリーズパターンのフレイムスが入る。テールライトはシンプルなウインカータイプ。
BUILDER’S VOICE
ROGUERIES METAL WORK
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