YAMAHA SR400 1996
Barn field
アダルトな構成の中に垣間見る
無二なるクリエイティビティ
島根県出雲市。出雲大社の存在で全国的に知られるこの土地にて、カスタム屋の看板を掲げるおそらく唯一のショップがここ『バーンフィールド』。
SR系国産車やハーレーを主に手掛けるこのショップで腕を振るうのは宅和さん。溶接屋や鍛冶屋での経験を経て、同ショップを立ち上げて10年になる、島根エリア孤高のカスタムビルダーだ。
今回紹介するのは同店で製作されたSRのカスタム。
「SRが好きなんですよ。見た目もですけど、乗ってて楽しいのもやっぱりSRですね」と、氏は話す。これまで自らも幾度となく所有し、顧客のマシンも数多く手掛けてきただけあり、このポピュラーなモデルへの造詣は深い。
ベースは1996年のSR400。自分より少し年上のオーナーということもあり、「シートレールをぶった切ったまんまドロップっていうのも子供っぽいと思って、ちょっと大人っぽい感じで作ろうかなと。例えばセンタースタンドって普通取っちゃいますけど、このバイクに関しては残してたり……」。
フレームの前半分はアンカット。対してシート下の細い純正パイプはカットされ、ストラット部分と併せてリメイクしているがここで重要視したのは『純正』っぽさだ。
先述の切りっぱなしの造形を嫌い、あたかも正規のフレームのように切断部をととのえるあたりに「大人」の配慮を感じさせる。
ホイールは前後とも純正の18インチ。さりげなくハブをパウダーコートでブラックアウトした目的は汚れやすい部分をカバードすることにあるが、足周りを引き締めることにも一役買っている。
同じくエンジンもシリンダーをブラックアウト。フィンの部分は削って地を出すことで、そこに生まれるコントラストが機関部をより精悍に自己主張させる。
シンプルなルックスの車両ながら、「作り物が好き」と話す宅和さんの遊び心を垣間見るのはフロントエンドのスプリング。見た目上、邪魔にならないように留意したというその作りは、フロントエンドのスパイスとして程よいヴィンテージ感を演出している。
ペイントにも注目したい。塗装も自らで行っている。ブラックカラーでシックに仕上げた車体、そのタンクにはシンプルなスキャロップラインとYAMAHAのレターを描いた。
全体を見渡せば、目論見通りの大人なムードを漂わせつつ、目を凝らせば遊び心を随所に感じさせるディテイル。なんとも、見どころの多い一台である。
(写真・文/マツモトカズオ)
YAMAHA SR400 1996 DETAIL WORK
FRONT FORK
「入れたらかっこいいな」という直感で製作したというスプリング。こういった造り物は同店の真骨頂である。
GAS TANK
汎用のタンクをリメイク。エンド部の造形にバーンフィールドらしさが現れる。塗装も氏自らによるものだ。
FOOT CONTROL
フットコントロールはモーターロック製。この手のカスタムに珍しくセンタースタンドを残しているのも一興。
ENGINE
シリンダーの塗り分けによるコントラストがシックな雰囲気を醸すエンジン周り。マフラーはGoods製を選択。
SEAT
無二の造形、パターンのシートは宅和さんのデザイン。車体とのバランスを考え、スプリングを入れている。
SEAT RAIL
シート下フレームからストラットまで、ストック風にリメイクされたリア周り。リアサスはプログレッシブ製。
Barn field
住所 | 島根県出雲市斐川町出西3755-1 |
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電話 | 080-4266-0131 |
SHOP | Barn fieldのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 20:00 |
定休日 | 月曜日 |