YAMAHA SR400 1996
Barn field
ゆりかごを揺らす
精製された3つの題目
中国地方の日本海側に面した島根県。肥沃な土地面積を有しながらも、不思議とカスタムに特化した店はごくわずか。プライベーターの存在は噂されるものの、おそらく、正式に看板を掲げたカスタム屋はこの『バーンフィールド』ぐらいじゃないだろうか。
チョッパー全盛のなかで異彩を放つ、前後16インチホイールの低く構えたシルエット。SR400がベースである。そして今回も、店主宅和(たくわ)さんがクリエイトするマシンは強い印象を発している。
カスタムはまず、オーナーの希望を押さえるところから始まった。『フロントカウル』、『えぐりを入れたガスタンク』、『16インチホイール』。当初は参考にしたバイクと全く同じやつを作って欲しいという依頼だったが、そこにアレンジを加えることで同店固有のダイナミクスが表現された。
「でも作ってくれって言われて、人と全く同じの作るのは嫌じゃないですか。だけんあとは提案していって、『いいですね』って言ってくれたんでそのまま進めました」
ぶっちゃけカウル以外は普通だと言う。以前、氏が作ったカウルを気に入ったオーナーに同デザインで製作し、一方、タンクのえぐりは両サイドをしばいて成形。またハンドル&ライザーも一家言(いっかげん)ある造形で、ステンレス材を使った5ピースの構成。無垢棒から旋盤で削り込んだ真ん中のパートに、ライザーを介して両側からパイプを溶接でつないでいる。
「カウルが変わってるって言ってもシンプルですけど。マフラーですか? 予算があえば作ってたんですけどこれは大阪のグッズ製、音が好きなんですよね。だけん全体の色はマフラー合わせです」
マフラーありきのカラーコーディネートだそう。メッキ箇所はビカビカに光る感じにしたかったが、マフラーの黒に合わせるとミスマッチ。そのためペイントも落ち着いた暗めの色を選択した。
「どうしてもあそこに黒が『ボーンッ』とあるじゃないですか。それで純正カラーを意識したんですけど多分違うんでしょう。ピンラインも俺ですけどそんな激しいことは全然できませんよ」
最後のインタビュー動画はかたくなにNGだった。そんな氏の人となりを伝えられないのが口惜しいが、代弁するなら、しっかりした志とゆるぎない素朴な信条の持ち主だということ。そして、一見いかめしい感じがするけど、心のうちに深い感動をみなぎらせている。そんな人物である。
YAMAHA SR400 1996 DETAIL WORK
HANDLE
全5ピースからなるライザー一体のハンドルはステンで製作。ライザーの間をつなぐ中央箇所は旋盤で削り成形。
FRONT COWL
純正フォークにアクセントのフロントカウルを装着。アルミを素材に、ばしばしとハンマリングで叩いて完遂。
GAS TANK
タンク両脇のえぐり加工はそこだけ切り抜いて加工溶接したのではなく、曰く、「しばいて」形作った部位。
SEAT
シートレイルのラインに合わせてシートが収まる。ピタリとフレームに沿う電装ボックスには配線系を収納。
REAR END
角度を付けてサスをマウント。シンプルなショートフェンダーにより剥き出しとなったタイヤの迫力が増幅。
NUMBER STAY
動的なデザインのステーは蔦(つた)をイメージしたもの。コーティングした表面は鋳物風の質感に処理される。
Barn field
住所 | 島根県出雲市斐川町出西3755-1 |
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電話 | 080-4266-0131 |
SHOP | Barn fieldのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 20:00 |
定休日 | 月曜日 |