ハーレー アイアンスポーツチョッパー XLH 1976

H-D XLH 1976
FREE WAY

May 23rd, 2019

本人しか分からない
きらめく知らない世界

細身のオーナーがスラリと伸びた手足を定位置に置いてひとたび走り出せば、それはそれはよく似合うチョッパーだ。’76年式XLHは、ショップ主導ではなく乗り手自らが自分のためだけに、たっぷりと時間を費やしてまとめた一台。

ハーレー アイアンスポーツチョッパー XLH 1976

どんなカタチが良いのかが明確だったオーナーは、イチからその理想形に向かって邁進。主要な箇所はもちろん百戦錬磨のカスタム屋『フリーウェイ』に任せるものの、ちょっとした微調整だったりミリ単位のせめぎ合いなどの本人でしか分からないコダワリの部分は自らが手を下した。

「ある程度は教え込んでやらせるし、もうしょっちゅう来てますからね(笑)。彼はそうとう悩むんですよ。だからイメージした形を針金とかで作らせたり自分で出来る所まではやらせて、最終的に僕が作る感じです。あとは気が済むまで磨いてもらって(笑)」

ハーレー アイアンスポーツチョッパー XLH 1976

店主の水谷さんはにこやかに、楽し気に製作工程を振り返る。それは聞いてる側も思わずつられて笑みがこぼれるハートウォーミングなもので、なかなかここまで純粋にバイク好きが溢れ出た作り手も珍しい。

そんな店主とオーナーの『好き』が強烈な磁力を帯びて結びついたチョッパーには幾多の小話があるが、代表的なものを挙げれば、例えばハンドシフトのステーなんかは11回もやり直して行き着いた究極形。ああでもないこうでもないと1ミリ単位で吟味した末のマキシマムだ。

ハーレー アイアンスポーツチョッパー XLH 1976

他にも、長さを詰めたハードテイルに合わせてナローに作り直したフレームもさることながら、オイルタンクも一大事。実はこれ、自然な佇まいを見せているもののワンオフで、ポリス風を表現したものだそう。イチから加工したタンクは専用のリブ入れ機械までを導入し、同じくミリ単位で『これしかない』という会心の形状に完遂したものだったりするわけだ。

ハーレー アイアンスポーツチョッパー XLH 1976

こうして常に形を変えて深化し続けるチョッパーだが、それは決して分かりやすい類のカスタムではない。平たく言えば、スポーツタンクをマスタングに載せ換えるといった明白なものではなく、今あるステーをもう少し曲げたりと、どちらかと言えば素地を活かした『改良』。綺麗に塗ってあったタンクの幅を詰めて、そのまま敢えて溶接跡を残した部位などもその名残だ。

ハーレー アイアンスポーツチョッパー XLH 1976

「常に変わってるんだけど自分にしか分からない、他人にはよく分からないカスタム」。そんな極めて深く付き合うバイクだからこそ、それに跨るオーナーは、誰よりもキラついてしまう。

HARLEY-DAVIDSON XLH 1976 DETAIL WORK

ハーレーアイアンスポーツ XLH1976のフロントフォーク

FRONT FORK

フォークは純正33mmを使い、アウタースプリング仕様に。体形に合わせたライザー一体のハンドルはワンオフ。

ハーレーアイアンスポーツ XLH1976のリンケージ

LINKAGE

シフトチェンジはハンドシフト化。右側と左側とをつなぐリンケージはワンオフ。ドリルド加工がアクセントに。

ハーレーアイアンスポーツ XLH1976のガスタンク

GAS TANK

大きかったタンクをリメイク。中央で詰めた後に塗り直さず、敢えて独特の味わいを活かして溶接焼けを残す。

ハーレーアイアンスポーツ XLH1976のエンジン

ENGINE

アイアンのソリッドなエンジン造形に合わせてカバーやステーなど狙い済ました箇所にドリルド加工を施す。

ハーレーアイアンスポーツ XLH1976のオイルタンク

OIL TANK

ポリス風をイメージして製作、トップパネルのリブは専用機械を使いアレンジ。フレームも細くリシェイプ。

ハーレーアイアンスポーツ XLH1976のリアエンド

REAR END

汎用ハードテイルは長さを詰めて結果的にワンオフ状態。フェンダー、シートは奇をてらわずさり気に合一。

BUILDER’S VOICE

FREE WAY

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FAX 097-558-3587
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