H-D FL 1964
MOTORI GARAGE
この時代こそ自由が似合う
サイケデリックなパンヘッド
色褪せた何ともいえない味のあるメタリックパープル。ヤレたリーフペイント。ヒッピームーブメントの時代、いかにも走っていたかのサイケデリックなパンヘッドは軽快でコンパクトだ。
かの年代に作られたヴィンテージ車両をそのまま輸入したのならば、庭先で無造作に組み上げたガレージチョッパーだろう。
しかしこのチョッパーは、オールドスクールな風貌ではあるが決してガレージチョッパーとだけでは片付けられない、計算された手作業のもとにその意匠は成り立っている。
特にイジっているわけでもない、ストックに近い状態の’64年式FLを手に入れた。そこでメカニックの志賀さんは、以前に自分が乗っていたハーレーに使用していたガスタンクをベースに、カスタムの方向性を見出す。
レプリカのオイルタンク、ワンオフのリブフェンダーはガスタンクと同じカラー、同様のピンストライプ、そしてあたかも同じ年月を経過してきたかのようなエイジング加工を施した。象徴的なのが、シートまわりだ。
リジッドフレームのダウンラインと弧を描くリアフェンダーの立ち上がりによって、シート下には三角形のデッドスペースが生じる。そこをどのように埋めるかは、リジッドフレームでカスタムバイクを作成するときに付きまとう永遠の課題だ。
オーダーメイドのシートで綺麗に埋める場合もあるし、ビンテージや既成品を使い隙間があることを気にせず空けたままの場合もあり、正解はない。
このチョッパーはリバーシートによってより強調された課題の隙間に、コイルスプリングを入れることで個性を与えた。
仮にガレージで手軽く作ったとするならば、シート下にスプリングを入れるような面倒なことはしない。もちろんスプリングが入ることで、劇的に乗り心地がよくなるというわけでもないはずだ。しかもそのスプリングによって前後に動きが生まれてしまう。
そこで、その動きでシートが横ずれしないように内部にはレールのようなものを仕込み、また、フェンダーも元々リブのある部分を取ってテールライトが付くように加工。ライトを収めた時にわずかにフェンダーが出るぐらいの慣熟した長さで配置した。そして、ワンオフのシッシーバーも絶妙な角度で寝かせることで、カチ上がった感じを解消している。
自由に生きるヒッピーたちの見た夢をカタチにしたようなFLチョッパー。その軽やかなハーレーは「肩の力を抜いてみろよ」と語りかけているように見えてしかたない。
(文/野上真一)
HARLEY-DAVIDSON FL 1964 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドル、ライザー、ヘッドライトは高名ブランドのヴィンテージ品ではないが、そこはかとない雰囲気を持つ。
FRONT FORK
三つ又はステムを入れ替え、アイアン純正の33.4ミリフォークを使用。ハンバーガードラムはリブをカット。
GAS TANK
プロジェクトはこのタンクをベースに始動。色といいヤレかたといい、ヴィンテージパーツ固有の存在感を醸す。
PRIMARY COVER
純正プライマリーカバー、フォワードコントロールのフットペグも純正のハイウェイペグを装着している。
SEAT
リバーシートにフィットするリアフェンダーはワンオフ。オイルタンクとともにガスタンクに合わせて塗装。
MUFFLER
ヴィンテージのショットガンは現在高値で取引されている。このマフラーは当時モノの雰囲気を持つワンオフ品。
BUILDER’S VOICE
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