H-D FXSTD 2005
NUTS CUSTOM CYCLES
一発でリングに沈める
絢爛のヘッドクォーター
四国地方の要人、『ナッツカスタムサイクルズ』。代表の薦田(せんだ)さん率いるスタッフや店舗内の雰囲気の良さもさることながら、肝要のカスタムの方がまた手厳しい。ひとつのスタイルに特化するわけではなく、実に多様なカタチを縦横に操り、そのどの完成度も底抜けだ。
普通、お客さんの声に耳を傾けつつ異ジャンルのカスタムスタイルを常時扱うとなると、どうしても得意不得意の面が出てくるものだが、そうではない。どのパンチを放っても一発でリングに沈められるファイターというのは稀だ。
「ご友人の方が作ったカスタムを見て自分のもやって欲しいと。あれに負けんぐらいのを作って欲しいと言われたところがスタートです。まあそのバイクよりもシンプルにカッコ良く作る自信はありました(笑)」
コテコテに手を入れても煩雑(はんざつ)にせず、シンプルな様相へと落とし込むのが同店の作法。それは数多く触ってきたショベルやパンヘッドといった旧車カスタムからの手法でもある。
具体的には、今回はビレットパーツの多いカスタムだが、基本的に鉄を素材にワンオフしたパーツをメッキがけして構成していくというもの。この安易に汎用パーツに手を伸ばさないところが全体の格調につながっている。
まず、一瞥してこのハンドルが11ピースもの部材から成ることを誰が予想出来るだろう。無論ただのピースの合成ではなく、強度とデザインを備えたものであるのは言うに及ばないが、そのスリットデザインはリアフェンダーステーとナンバーステーにも統一。
一方、ガスタンクは型紙から切り出しそれに鉄板をトレースしてカット。上側から叩き出して成形した後に両サイドに取り掛かるが、表面がつるんとしたままでは何か面白くない。そこでエグリを入れて加工、最後にオーナメントを上面に添えたと氏は話すが、そう簡単な作業でないことは素人目にも察しがつく。
ほかに鋳物製エンドキャップを付けたマフラーにしても、シートマウントが輝くエクスクルーシブなシートにしても、果ては1.6mmの分厚い鉄板から作製したリアフェンダーやチップオーナメントにしても、ワンオフパーツを名だたる海外部品と調和させる技芸は並みでない。
器用というのとはちょっと違う。そこには、バイクもお客さんもどちらもないがしろにしない第一義的な能力の高さがある。このどの要望にも絶世の解答をもって応えるのが、四国を張る要人のファイトスタイルだ。
HARLEY-DAVIDSON FXSTD 2005 DETAIL WORK
HANDLE
全11ピースから構成。無垢棒を旋盤で削り上げたスリットデザインなど、強度を備えた妥協のない作り込み。
GAS TANK
型紙から切り出し鉄板で製作。上側を成形した後に両サイドにエグリ加工を施す。中央のオーナメントが映える。
MUFFLER
業者にリップルパイプを依頼しそれを使いワンオフ。エンドキャップはビレットではなく鋳物製を磨き込んだもの。
FENDER STAY
フェンダー&ナンバーステーはハンドル同様のスリットデザインで統一。全体の完成度を高めるのに一役買う。
SEAT
精緻なカービングシートも見ものだがそれを受ける白銀のシートマウントも豪奢。ワンランク上の気分を醸す。
REAR FENDER
1.6mm厚の鉄板を叩き出して造作。フェンダーチップやオーナメントは鉄板と丸棒の溶接と切削を繰り返し完遂。
NUTS CUSTOM CYCLES
住所 | 愛媛県四国中央市土居町蕪崎2634-2 |
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電話 | 0896-74-8275 |
FAX | 0896-74-8275 |
SHOP | NUTS CUSTOM CYCLESのショップ紹介 |
営業時間 | 9:00 ~ 18:00 |
定休日 | 水曜日、第1・3日曜日翌月曜日 |