
H-D XLCH 1970
LOCAL CYCLES
往年のスタイルに吹き込む
一滴のチョッパーエッセンス
ドラッグレーサー然としたショベルヘッドのリジッドFXRでカスタムシーンを賑わせたかと思えば、同じくショベルのボートテイルを用いたラジカルなチョッパーでフリークたちを唸らせる『ローカルサイクルス』。
その主、永池さんには神戸の師から受け継いだ“奇才”という言葉が見え隠れする。
「もともとオーナーさんが乗ってたバイクで、『往年のトラッカースタイルなんだけど、“LOCALらしさ”を出した感じで作って欲しい』というカスタムオーダーで作りました」と、永池さんは経緯を話し出す。
ショップにはヴィンテージパーツに造詣が深いというオーナー自らチョイスしたフロントエンドや外装類といったパーツが運び込まれた。与えられた素材を前に、それらをどう料理するか……思案を重ね、氏は動いた。
まずは足周りだ。純正F19/R18インチのHリムホイールはそのまま踏襲し、磨き上げてスポークも新調。
フロントエンドは持ち込まれたセリアーニを、ネックシャフトを入れ替えてセットアップ。同じくオーナーが持ち込んだオーリンズのリアサスと併せて車体の均整を計るべく、幾度も車高調整を重ねた。
続いてはこのカスタムの肝となる外装類。タンクとシートカウルの配置にはことさら気を使ったという。
「真横から見た時にボディラインが水平になるように、マウント位置にはかなりこだわりました」
この配置と関係性が1cmでもズレると、マシンは途端にアンバランスに見えてしまう。外装類のマウントを製作し、ベストな位置を模索した。その際に助けとなったのがH-D往年の名車XR750。このアイコニックなレーサーの資料から絶妙な配置を割り出した。
提供された素材を抜群に配し、車体の形を成していくアイアンショベル。そこに氏のスパイスも加味されてゆく。
筆頭はその“顔面”たるヘッドライト周り。レーサーのゼッケンプレートをイメージした、ナセル然としたパートにライトを配置。車体の随所に施されたドリルドをここにも配し、レーサー感を加速させている。
もうひとつ目を引くのがエキゾースト。ドラッグレーサーからの影響を感じさせるパイプは永池さんのフェイバリット。マフラーエンドの造形もまた「らしい」仕上がりだ。
そして塗装。永池さんが全幅の信頼を置くTRAD Paintによるアシンメトリーなペイントワークはまさに画竜点睛、マシンに無二の存在感を贈った。
トラディショナルでありながら、誰にも似ない。ローカルの名作がまたここに産まれた。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON XLCH 1970 DETAIL WORK
HEAD LIGHT
ヘッドライトはLED灯を2連で。不揃いなライトの配置やレーシーなドリルドが顔面に強烈なインパクトを残す。
FRONT FORK
セリアーニフォークがヴィンテージレーサーの雰囲気を醸し出す。ドリルドされたハンバーガードラムが強烈。
PAINT WORK
サイケデリックな右サイドに対し、フレイムスを配した左サイド。オレンジとブルーの色遣いの妙が堪らない。
CARBURETOR
キャブはデロルト、エアクリーナーはNICE!モーターサイクル製5インチ。他の箇所と同様にドリルドを施す。
MUFFLER
アメリカのドラッグレーサーを彷彿とさせる2 in 1マフラー。エンド部のオーバルなデザインが印象深いパート。
SEAT
XR750にインスピレーションを得て制作されたシートはMITSUNAGA AUTO INTERIOR & DESIGNが制作。
BUILDER’S VOICE
LOCAL CYCLES
住所 | 熊本県山鹿市鹿央町合里2570‐6 |
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電話 | 0968-41-9085 |
SHOP | LOCAL CYCLESのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 第1・3火曜日 |