ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムビルドチョッパー

YAMAHA SR400 1992
A BEARD

June 16th, 2021

国産車カスタムの雄藩が造る
ガレージビルド・チョッパー

モーターサイクルの世界に身を置いて30余年。バイク販売店『己斐(こい)オートバイセンター』の経営者として多忙な日々を送りつつ、そのカスタムセクションである『ビアード』ではレンチを握りカスタムに勤しむ上田さん。

ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムビルドチョッパー

氏の下で修行した“卒業生”たちが独立してビルダーとして立身していく中、師である上田さんのクリエイティビティもまた衰えることなく、その独創的なカスタムはいつも我々に新鮮な驚きを提供してくれる。

このマシンは、そんな上田さんが10年ほど前に手がけた一台だ。

ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムビルドチョッパー

「中古車仕上げで一台作ることになって、それならショーに出せるバイクにしようと思って店に転がってたいろんなパーツを寄せ集めて作った『ガレージカスタム』ですね」

当時から数々の国産バイクを手がけていたビアードには、カスタムの過程で取り外された様々なパーツが文字通り“転がっていた”という。例えばトリプルツリー。こちらは10度のレイク角がついたドラッグスター250用だ。それを削ってナロードし、ローダウンしたSR純正フォークを取り付けている。

ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムビルドチョッパー

そしてフロントホイールは21インチ化。これらの組み合わせにより、ストックライクだったSRは着実にチョッパー化していく。中でも、最も印象的なのはタンク。こちらはヤマハ・ブロンコ用だ。

「倉庫からいろんなタンクを出してきて、実際に載せてみて、一番しっくりきたのがブロンコ用でしたね」

ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムビルドチョッパー

このタンク、そしてリアフェンダーには一度クロームメッキをかけ、その上からキャンディ・ブラウンでペイント。塗装が施されているにも関わらずミラーのように景色を写し込むユニークなペイントワークである。一方、エンジンは腰上を開けた際にリペイント。クラッチカバーとシリンダーはブラックアウトされ、キャップボルトには差し色として赤を用いているあたりが粋だ。

こうして完成した一台のSR400。プロが作った、ガレージビルド・チョッパーといったところだろうか。

ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムビルドチョッパー

「特にコンセプトは無いんです。その場の発想を組み立ててこの形になったという感じ。どのバイクを作る時もそうですけど、僕はいつも楽しいんです。ワクワクしながら作って、気が乗らない時は一切手をつけない。そんな気持ちで作ってます」

上田さんのカスタムへの熱量、そして高揚感。それがこの快活なチョッパーからも如実に伝わってくる。

(写真・文/マツモトカズオ)

YAMAHA SR400 1992 DETAIL WORK

ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムビルドチョッパーのハンドル

HANDLE

ハンドルはビアードオリジナルの『クラシックハンドル』。当時からグラストラッカーやボルティ用に人気の品。

ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムチョッパーのフロントホイール

FRONT WHEEL

当時エイボンが人気で、それに合うようオフロード用の細めのリム、オリジナルのスポークを用いたFホイール。

ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムチョッパーのガスタンク

GAS TANK

少しふくよかなデザインのブロンコ純正タンクがこのマシンの柔和さを演出。ペイントはシックスシューター。

ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムチョッパーのオイルクーラー

OIL COOLER

旋盤でアルミを削って作ったオリジナルのオイルクーラー。問い合わせが多く、何セットか販売したと言う一品。

ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムチョッパーのシート

SEAT

シート、リアフェンダー共にワンオフ。シートのステッチは外装に合わせた。シート横のバッグはETCを収納。

ヤマハSR400 1992年のガレージカスタムチョッパーのナンバーステー

NUMBER STAY

以前はサイドナンバーだったが、最近ステーを製作して車検対応に。全体像を壊さぬようデザインには配慮した。

BUILDER’S VOICE

A BEARD

住所 広島県廿日市市住吉1-2-55
電話 0829-32-5644
FAX 0829-32-5144
SHOP A BEARDのショップ紹介
営業時間 10:00 ~ 19:00
定休日 第1、3火曜日