YAMAHA BOLT 2021
A BEARD
グラウンド全体を照らす
吸い付くようなパス回し
2013年にヤマハが市場に投下したクルーザーバイクがこの『ボルト』だ。空冷60度Vツインエンジンを搭載し、デザインコンセプトを「究極のボバースタイル」としたモデルで、発売から早10年を迎える今もなお一定のファンから熱い視線が注がれ続けている。
今回そのボルトを素材に選んだのは広島の『ビアード』。古めから新しい車種までを分け隔てなく触り、独自のカラーに染め上げてきたカスタム屋によるチョッパーライクな一台だ。
「これは去年のモデルで新車からのカスタムです。まあボルトのデザイン自体がスポーツスターに近いので、出来るだけスポーツスターには寄っていかないカタチというのをテーマに作りました」
作り手の上田さんが特に気を付けたのはリア周りだと言う。フェンダーストラット一体のリアフェンダーは鉄板を鈑金溶接したワンオフで、リアサスには純正をそのまま採用。ノーマルシート高が690mmという足付き性の良さから下手に車高を下げることなく母材の旨味を有効活用した。
「オーナーさんが元々溶接工をしていたらしくて結構細かい指示もありました。その中でこっちも『こんなこと出来るよ』って。で最終的に、じゃあお任せでって話で作り上げたバイクですね」
溶接工というその道のエキスパートだったオーナーの満足をつかみ、更なるアイデアをも盛り込んで促進していったカスタムである。そして、エアクリーナーカバーにはオーナーが持ち込んだパーツを使用。これは何かのペンキの缶を使ってそこにアクリルを貼ったものだそうだ。
「カッコ悪かったら外してもらって良いよって言われたんですけど、いやこれは十分良いから一緒に取材してもらおうって(笑)。具体的にどう作ったかは聞かんと分からんけどペンキのカンカンらしいですよ」
こうした楽し気なやり取りを聞くたびに、その光景がぼんやりと目に浮かぶ。お客さんとの距離感が近いというか、過不足がない。聞く耳をたっぷり持ちながらも、決してなれ合いになることなく二人三脚でひとつのゴールに向かって駆け抜けてゆく。
それは、ドリブルで一点突破というよりも、鮮やかなパス回しでゴールネットを揺さぶるのに似ている。誰がシュートを決めたということより、一連のパス回しの方が記憶にこびりついてしまう。そんなチームプレーのようなものが同店のカスタムの根底にはあり、関わった人すべてにスポットライトが当てられる。
YAMAHA BOLT 2021 DETAIL WORK
HANDLE
ブラックアウトされたハンドルとライザーは汎用品を流用。ライザーのネジはボルト用に作り直して下側で固定。
FRONT FORK
純正フォークにフォークブーツを取り付け、上下三つ又の間には鋼管パイプから成形したワンオフカバーを装着。
GAS TANK
ガスタンクはノーマルで、ペイントは明るいグレー系の要望を受けたものに塗装。そこにシンプルなラインが入る。
AIR CLEANER COVER
カバーはオーナー自作によるもので、ペンキの空き缶を使い造作。アクリルの貼り付けまでを自らで行っている。
NUMBER STAY
ステーは単一で製作。手動のパイプベンダーを何種類か買ってそれを使い、いろいろと曲げて納得ゆく形で完遂。
REAR END
リアフェンダーはストラットと一体成形。軽快なショートタイプとしてチョッパーテイストを高めている。
BUILDER’S VOICE
A BEARD
住所 | 広島県廿日市市住吉1-2-55 |
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電話 | 0829-32-5644 |
FAX | 0829-32-5144 |
SHOP | A BEARDのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 第1、3火曜日 |