HARLEY-DAVIDSON EL 1946
BOOTLEG
錆びた美装の
レイドバック
ハーレーダビッドソンの歴史において、1936年に初めて採用となった『OHV』エンジン。ハーレーの代名詞として知られるこのエンジンは、さかのぼればナックルヘッドのデビューモデル『EL』から搭載されたもので、当時、『世界で最も高性能なエンジン』としてまたたく間に人気を博したモデルである。
排気量1000ccの『EL』は、’36年から’48年まで製造された息の長いモデルで、今回の一台はその歴史のなかを共に生きてきた’46年式がベースのチョッパー。
「これはお客さんが元々輸入したかったもので、最初はそれを整備するまでの話だったんですけど、せっかくなら外装も変えたいということで扱わせてもらったものです。持ち込みのパーツを受け取って、希望のカタチに仕上げてます」
製作は埼玉県のブートレグ。この手の往年の空気感を残した再生に定評がある菊原さんは、オーナーから渡されたヴィンテージパーツを使い、イチから創作するカスタムというよりは素材の良さを引き立たす方向で作業を進めた。
まずフロントに74スプリンガーフォークを用い、前後には21/18インチのスターハブホイールをセット。そしてガスタンクはBSAのバンタムという慣熟のチョイスで、ガスキャップの形状をハーレー用に変え、タブの修正とクラック箇所を補正する。
「特別なカスタムというのは無いです。古いやつだったんで1個1個直さないといけないのが手間ぐらいで、別に大掛かりなものはないです。折れてるタブとか穴が開いてたりもげてたりする所の修正ですね」
例えばその箇所が錆びているものであれば、風合いを合わせた色を塗り、その上から更に黒をかけてサンディング。一方、錆びさせたい場合はそれ専用の溶剤を使って加工するなど、はた目からは分からない手間暇がぎゅっと濃縮される。しかしこの辺を労力とせず、ごく当たり前の作業の一貫として処理するあたりに同店の水準の高さがちらつく。
さて、リア周りはどうだろう。マフラーは当時のヴィンテージタイプで、フェンダーとシートは持ち込みの物を使用。ワンオフパーツはシッシーバーぐらいだそうで、それもナックルだからといって下手にフェンダーブレースやタブを切って手をかけたものではなく、V字に曲げたごくシンプルなものである。
オーナーの理想を叶えるのに何がベストか。まぶしいカスタムスキルを持ちながらそれをひけらかすことなく、最短距離でゴールをたたくその軌道に狂いはない。
HARLEY-DAVIDSON EL 1946 DETAIL WORK
FRONT FORK
フロントフォークには74スプリンガーが付く。ヘッドライトは輸入時から付いていた物をそのまま使用する。
HANDLE
こちらも輸入時からの物で、トライアンフ製とおぼしき7/8インチバー。程良く開いた形状が車体と馴染んでいる。
GAS TANK
タンクに英国BSAのバンタムを採用。プッシュタイプのガスキャップをハーレーに付くよう加工して装着。
ENGINE
今から70年以上前の1000ccのELモーターには、オーナー持ち込みのAEE製のエアカバーがポイントになる。
REAR END
リブフェンダーの上にベイツシートを載せる。ワンオフのシッシーバーにはトラック用テールライトを合わす。
MUFFLER
マフラーは当時のヴィンテージタイプで、わずかに跳ねたフィッシュテイルが全体の雰囲気とフィットする。
BUILDER’S VOICE
BOOTLEG
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