LUCK MOTORCYCLESのナックルヘッドチョッパー EL 1945年

H-D EL 1945
LUCK MOTORCYCLES

November 22nd, 2023

孤影をつらねた
両翼へのグライド

ここに来て、時代が『ラックモーターサイクルズ』に脈打っている。昔から関西の手練れのチョッパービルダーとして名を馳せた存在だが、最近はそれに輪をかけて波紋を広げている。評判や技術、世界各地でのパブリシティといったあらゆる要素がカチリと噛み合い、寸部のズレなく明日への歯車が音を立てて動き出している。

LUCK MOTORCYCLESのナックルヘッドチョッパー EL 1945年

今回のオールドスクール然としたナックルヘッドは、どの角度から捉えても『ラック』のそれである。オリジナルフレームに前後21/18インチホイールを合わせ、同じくオリジナルの74スプリンガーフォークにエイプハンガーを装着。ベースとなるパーツ単体だけを聞けばあくまで自然体だが、ひとたび杉原さんの手にかかるとあらゆるディテイルがうねりをともない発光し出す。

まずは、フレイムスデザインに丸棒を溶接してモールディングした3Dのガスタンクである。この習熟したパートの塗装は、地にクロームを敷いてその上に艶消しオリーブをペイント。フレイムスのエッジ部にクロームを残し、その内部をキャンディカラーで彩ることで更なる立体感を描出している。

LUCK MOTORCYCLESのナックルヘッドチョッパー EL 1945年

次にシッシーバーも、ツイストのみで片付けずに頂点にはレーザー加工で切り出したワンポイントを付帯。他にもアクセントに取り入れたリップル形状のマフラーや、敢えてガスタンクと同色にしないメッキのリアフェンダーなど、高度な感性がものを言う同店固有のメソッドが全体に渡り燃焼している。そして、それらはすべて飾りじゃないところで存在感を増す。

LUCK MOTORCYCLESのナックルヘッドチョッパー EL 1945年

「確かにチョッパーって元々がアウトローな乗り物というのが発祥ですから、そういう所の遊び心とか乗った感じが僕は重要やと思うんですよね。それをどこで表現するかっていうのはバイクによって違うんですけど、やっぱり乗車姿勢でかなり左右されますよね」

LUCK MOTORCYCLESのナックルヘッドチョッパー EL 1945年

背筋を伸ばして乗るよりはちょっと背中を丸めて、曲げた膝にも余裕を持たせてあげるポジションが理想。そのためにそれぞれ体形の違うオーナーに合わせて位置を詰めていき、バイクとマッチングさせることは必然の工程だと言う。同店のバイクはそれ単体でも麗(うるわ)しい影を見せるが、街中で走った姿により目が留まるのは、そこにたった一つの真実が見て取れるからだろう。

LUCK MOTORCYCLESのナックルヘッドチョッパー EL 1945年

特別である。動的な見栄えと、筋の良さ。この種の差し迫ったチョッパーを繰り出す作り手において、もうほかとはちょっと離れた次元に片足を突っ込んでしまっている。

HARLEY-DAVIDSON EL 1945 DETAIL WORK

ナックルヘッドチョッパー EL 1945年のハンドル

HANDLE

乗る状況に合わせられるよう同店では珍しく固定させない可変対応。ライザーを加工してトップクランプに装着。

ナックルヘッドチョッパー EL 1945年のフロントフォーク

FRONT FORK

フロントはオリジナルの74スプリンガーでヘッドライトは古めのベイツタイプ。ベストな位置にマウントされる。

ナックルヘッドチョッパー EL 1945年のガスタンク

GAS TANK

鉄棒を沿わせてモールディングした3Dのガスタンク。地のクロームと艶有り/無しの塗装で立体感を増す。

ナックルヘッドチョッパー EL 1945年のマフラー

MUFFLER

どのチョッパー製作においても『らしさ』を落とし込むのが作法。マフラーにはワンポイントのリップルを入れる。

ナックルヘッドチョッパー EL 1945年のリアエンド

REAR END

外し技が光るタンクと色を変えたメッキフェンダー。チップにはCHEETAH CCによるエングレービングが彫刻。

ナックルヘッドチョッパー EL 1945年のシーシーバー

SISSY BAR

ツイストシッシバーの頂点にはオーナーの好みによる飾りをセット。レーザー加工で切り出したワンオフ。

BUILDER’S VOICE

LUCK MOTORCYCLES

住所 京都府京都市左京区静市静原町855-11
電話 075-278-8349
SHOP LUCK MOTORCYCLESのショップ紹介
営業時間 10:00 ~ 19:00
定休日 水曜日