ハーレー ナックルヘッド EL 1940のロングフォークチョッパー

HARLEY-DAVIDSON EL 1940
WILD ROAD CHOPPERS

August 1st, 2017

意のままに角材を操る
全美のウィザード

誰が見てもの、ワイルドロード。特徴的なツイスト加工が施された、たやすく真似出来ない次元の芸術的なシェイプ。個人の趣向すらいなし、皆口を揃えて「凄い」と言わしめるチョッパーは、強豪ひしめく国内シーンにおいてもごくひと握りだ。

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のロングフォークチョッパー

「オーナーは女性なんで足付きが良くなるようにシート下を落として。あとはまあ、そんなに長くなく、ハンドリングも軽く。ポイントはなんだろう、この模様かな。ツイストじゃなく内では『ハーフ』って言うんだけど、ツイストの中に別のバージョンが入ってるでしょ」

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のロングフォークチョッパー

‘40年式ELをベースにした一台は、この『ハーフ』が飛びっきりだ。フロントフォークを筆頭に、フレームやシッシーバーなど、マシン全体に施された特殊なネジリ加工に注目したい。これらは同じデザインで統一されるのではなく、途中から別パターンを取り入れて動きを付けた手法で、通常のツイストよりも遥かに難易度は上がるものだ。そしてそれは、代表の阿部さんをもってしても、「慣れなきゃほんとひどい」と言わしめる。

「難しくてめんどくさい。やれば分かるけど進み具合が全然違うんだよ。みんなミガキ棒持って来て、でかいパワーのある旋盤使ってガンガン巻いてツイスト作るけど、これは機械じゃ出来ない。そもそもうちは手巻きだし」

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のロングフォークチョッパー

右手でバーナーを構え真っ赤になるまで炙り、そこから左手一本で巻いてゆく。均一ではなくネジり具合に緩急を付けた『ハーフ』はもはや、伝統工芸ですらある。実際、例えツイストが得意なショップであっても、この技をフレームやシフトロッド、更にはチェーンカバーに至るまで徹底的に反映させているところなど皆無だろう。

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のロングフォークチョッパー

しかし、『ハーフ』の凄まじさだけでは終わらない。配線やケーブル処理も同店が妥協しない代表的な箇所だ。ウインカーのフレームマウントを見れば明らかだが、ありがちな配線のわずかな露出もシャットアウト。逃げを作るため、ウインカーボディすらワンオフしてスーパークリーンに中通ししている。

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のロングフォークチョッパー

「フレームからメッキにしてエンジンもオールクロームを目指して。まあハイライトはタンクでもありフォークでもありフレームでもあり、もうどこをってわけじゃなく見たまんま。バイクに裏表はなく全部表という感じ。やっぱりそういう想いで作ってるというかさ」

一事が万事である。『ハーフ』を取り入れたフレームワークや細部に至るステー然り、悩ましいほど入り組んだマフラーのライン然り。作り手の、美意識と狂気が共鳴したかの粋に溢れている。

HARLEY-DAVIDSON EL 1940 DETAIL WORK

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のフロントフォーク

FRONT FORK

追従すら出来ないブッチギリの技が光る特殊ツイスト加工の『ハーフ』。1本の角材をご覧の造形に昇華する。

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のガスタンク

GAS TANK

トップパネルは3Dの立体的デザインに成形し、サイドに深度のあるエグリ加工を施す。キャップがアクセントに。

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のダウンチューブ

DOWN TUBE

ダウンチューブの中間でカットし、それを前後逆に向けて接合。つないだ補強部分はハーフデザインを踏襲する。

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のウインカー

WINKER

クロームウインカーのどこからも配線は見えない。ボディからステー、フレームと完璧な連携で中通しされる。

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のマフラー

MUFFLER

エンド部分だけでは分かり難いが、かなり複雑な取り回しが為される。フランジから外せるドラッグレーサー仕様。

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のリアエンド

REAR END

車体左側のリアエンドはハーフで統一。裏のプレートステーやチェーンカバーまでが同デザインでネジられる。

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のフレームエンド

FRAME END

フレーム後端までも徹底的にネジられる。ツイストより難易度の高い手法を使いまとめ上げたそれは圧巻だ。

ハーレー ナックルヘッド EL 1940のシッシーバー

SISSY BAR

日本古来の伝統的な美を落とし込んだ同店のハーフデザイン。和洋折衷が息づくラグジュアリーな佇まいである。

BUILDER’S VOICE

WILD ROAD CHOPPERS

住所 宮城県仙台市若林区六丁の目東町7-70
電話 022-287-2422
SHOP WILD ROAD CHOPPERSのショップ紹介
営業時間 10:00 ~ 19:00
定休日 月曜日