
H-D FL 1950
RE:RIDE CUSTOM & SERVICE
新たな価値を運ぶ
初太刀パラドックス
その佇まいには、まるで数十年の時の経過をそのまま身にまとったような、生々しいヤレ感がある。しかしその正体は、当時のビンテージパーツのみで組み上げたものではない。作り手がビンテージの質感に心を傾け、再構築したものだ。

起点となったのは、別の輸入車両に付随していた正体不明のスプリンガーフォークと、17インチのスプールハブホイールだった。
「このホイールありきで作りたかった」と山内さんが語る通り、今や希少となったナローな17インチリムがこのバイクの性格を決定づけた。そしてこの足周りに導かれるように、自然とロングフォークのナローチョッパーというスタイルが導き出されている。

当初は氏が自身のために製作していた車両だったが、製作途中で一人の顧客がその魅力に惚れ込み、オーナーが決定。そこから、大柄な新オーナーのイメージを投影する形で、最終的なフィニッシュへと向かっていった。
本作の妙味は、「作り物であることを悟らせない」というパラドックスにある。ガスタンクやリアフェンダーは、一見すると当時物のレアパーツに見えるが、実はそのほとんどがワンオフだ。

特に目を引くのは、褪せた装いのタンクとフェンダーに施された立体的ルーバー加工だろう。鉄板に切れ目を入れ、叩き出し、プレスのように押し出して形を整える。この作業が、本作で最も時間を費やした箇所だ。
「ビンテージパーツをポン付けしたように見せたい」という思惑通り、そこには自作パーツ特有の主張を消し去り、歴史の風景に溶け込ませようとする作り手の矜持が透けて見える。

シッシーバーも同様だ。角棒のエッジを縦ではなく横方向に向けた曲げ加工を施し、ワンオフのハンドルやスーペリア製レプリカエンドを組み合わせたマフラーと共に、マシンに標準化されないニュアンスを加えている。
この偽装ビンテージともいえるチョッパーに妖気を吹き込んだのが、福島県のペイントショップIZANAIによるエイジング塗装だ。外装に刻まれた傷や錆、そして退色。それらは単なる加工ではなく、当時の持ち主と共に過ごした時間をシミュレートした、物語の一風景だ。

「完成してしまえば苦労も忘れてしまう」と山内さんはのどかだ。でも、その細部に宿るリリックは、見る者の心を人知れず揺さぶってくる。
『リライド』が提示したのは、もちろん懐古趣味の類ではない。現代の技術で時間をコントロールし、新たな価値を創造する、チョッパービルドの深淵である。
HARLEY-DAVIDSON FL 1950 DETAIL WORK

HANDLE
ライザーは’70年代のパーツを用い、そのテイストに合わせてハンドルを製作。抜かりなくエイジング加工する。

FRONT FORK
フォークはメーカー不明のビンテージ。別の輸入車両に付いていた物でその雰囲気の良さから温めていた一品。

FRONT WHEEL
今となっては見る機会の減った17インチのスプールハブ。ロッカー形状が往年の実景を色濃く映し出している。

GAS TANK
ワンオフのルーバーをセットした単一のタンク。錆などのエイジングや横のグラフィックは福島のIZANAIが担当。

MUFFLER
エキパイを作り、エンドにはスーペリア製を設置。自作のヒートガードも全体の雰囲気に合わせてエイジング。

SISSY BAR
角棒のエッジ部分を縦方向ではなく横方向に向けて曲げ、製作。ひそかにオリジナリティを加えたパート。
BUILDER’S VOICE
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H-D XL1200C 2001





















