パンヘッドチョッパー FLH 1956のアワードハーレーカスタム

H-D FLH 1956
SEVEN MOTORCYCLES

September 3rd, 2020

ゾーンに入り込む
格調のドラマチック

早い話、この次元の物作りをする作り手とはやたらと出会えるものじゃない。全国津々浦々に破壊力抜群の猛者は数いれど、その中でもひけを取らず、目に痛いほどの存在感をキラつかせているのが『セブンモーターサイクル』。

妥協点の一切ない、まるっとショーカスタム。ブラックとシルバーの洗練されたボディカラーに、量感をたたえたコンパクトなマシンバランスを見るだけで、既にただならない。嫁のバイク用に製作したと言うそれは、軽やかに乗りやすく、ビルダー鈴木さんの会心の出来を持って着地させたチョッパーだ。

パンヘッドチョッパー FLH 1956のアワードハーレーカスタム

早速、それぞれの作り物を押さえたい。まずハンドル周りのライザーだが、この造形がトリッキーな3Dになっているのが分かるだろうか。縦方向の『曲げ』だけじゃなく横方向にも曲げが加わり、更にはライザーの両縁を内側に巻き込んで成形。その難度の高い作りを左右対称に揃えるという、キレた技巧が披露されている。

パンヘッドチョッパー FLH 1956のアワードハーレーカスタム

そしてフェンダーステーも同様。横から見れば平板を削って均しただけのように見えるが、近づいてみればやはり本気がえぐい。触ってみれば瞭然の、内側にくるっと巻かれた造形は明らかに手作りじゃなければ成し得ないもの。今回やりたかったのはそういう誰も真似出来ないような所だと氏は言うが、「正直自分ですら同じのは作れないかも」と回想するあたりにこの作り込みの凄さがうかがい知れる。

パンヘッドチョッパー FLH 1956のアワードハーレーカスタム

次に、タンクの中央を走るオーナメントパネルも精妙だ。タンクではなくパネルありきで製作にかかり、パネルの両縁にリブを立てて、このリブがタンクマウントステーへと華麗に変幻するというなんともセクシーな仕事がなされている。しかもこのリブがまた痛快。単純に丸棒を溶接するのではなく、わざわざ平板をカットして丸めたものを利用した。

パンヘッドチョッパー FLH 1956のアワードハーレーカスタム

「丸棒だとそれがすぐ分かるから嫌だった。こう薄く細くしたかったのもあります。でもタンクもリアフェンダーも、このリブは補強とマウントを兼ねて作ったもの。機能美じゃないけど全部意味のある装飾にしたっかたんですよね」

パンヘッドチョッパー FLH 1956のアワードハーレーカスタム

チョッパーには無駄な物は付けたくない。その行き着いた先が、補強とマウントを兼ねたオーナメントだった。ともあれ、時間にして約700時間。付きっ切りで費やした期間には作り物のみならず、メカトップのハンドシフトのギア位置に苦心するなど何話にも続くドラマが展開された。そしてそれは、きわめて繊細かつ才能ゆたかにここに描き出されている。

HARLEY-DAVIDSON FLH 1956 DETAIL WORK

パンヘッドチョッパー FLH 1956のライザー

RISERS

3Dデザインのハンドルライザー。縦と横方向の曲げのみでなく、更にその両端を内側に織り込んで成形される。

パンヘッドチョッパー FLH 1956のフロントフォーク

FRONT FORK

VLレプリカスプリンガーにヴィンテージのシカゴライトを装着。純正フレームはニッケルメッキで処理。

パンヘッドチョッパー FLH 1956のガスタンク

GAS TANK

中央のパネルありきで製作。そしてメカトップのハンドシフト仕様。決められたギア位置への調整に骨を折る。

パンヘッドチョッパー FLH 1956のフットコントロール

FOOT CONTROL

流れにのったアールを基調としたデザインで製作する。機能性と強度、見た目を常に視野に置いた物作りを徹底。

パンヘッドチョッパー FLH 1956のオープンチェーン

OPEN CHAIN

ハードな印象のオープンチェーンを雰囲気に合わせて品よく装着。またシフトロッド周りに労力が費やされた。

パンヘッドチョッパー FLH 1956のリアエンド

REAR END

3Dデザインのフェンダーステー。フェンダー上のリブはマウントステーも兼ねたオーナメントとして機能。

BUILDER’S VOICE

SEVEN MOTORCYCLES

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