ハーレーショベルのチョッパーボバー FLH 1973年

H-D FLH 1973
HOT CHOP SPEED SHOP

September 21st, 2021

源泉にかすむ
強者のミラージュ

京都に本陣を敷く『ホットチョップスピードショップ』の王道のカスタムだ。ホットチョップと言えば、一般ユーザーからプロのカスタムビルダーまでをファン層に抱える折り紙つきのショップだが、今回も全方位ホットチョップ節のパワーヒットで沸かせている。

「まあオープン当初からこういうスタイルでやってたんで、そのラインで作りましたね。ホットチョップ風ボバーっていう注文かな。ポイントはどうなんやろ(笑)。まあつるっとした感じかな」

ハーレーショベルのチョッパーボバー FLH 1973年

まずフレームに目をやれば、全体に渡って抜けなくパテを入れて表面を滑らかに成形。他に丸いデザインのパーツ箇所も多く、また極力配線を外に出さないなど、同店ならではのマナーで一元化。こうした全ての手際が呼応することで、誰が見てものホットチョップスタイルを生み、キラリとしたたかな光を帯びさせている。

ハーレーショベルのチョッパーボバー FLH 1973年

これまで、作り手の中野さんの創作活動が陰ったなんて話を聞いた試しがない。いつだって前線に立ち、常に臨戦態勢で挑むファイターの手にかかれば各ディテイルの威力は増すばかりだ。では、最初にハンドルなんてどうだろう。

立体的にデザインされたこちらは、ピースをつなぎ合わせた物ではなく一本物。旋盤で斜めに引いたり、丸い部分は削ったりと、持ち前の技量で製作した規格外だ。そしてそれに合わせるかのように、ミラーやヘッドライトステーにも細やかな作りが脈打っている。

ハーレーショベルのチョッパーボバー FLH 1973年

「旋盤ですか? いや別に言うほど得意ではないけど、出来んじゃないですかみんな(笑)。デザインはどこからなんでしょう、まあ’50年代の家具であったりとかね。猫足の家具とか、フィフティーズのが結構多いですよね」

一方、タイヤの選択も同店の『色』が出た最たる部分である。前後19/16インチのワイドリムにノーマルサイズのタイヤを引っ張って付けることで若干太めに、むっちり感を表現。オイルタンクに埋め込んだイグニッションキーも見過ごせないパートだ。

ハーレーショベルのチョッパーボバー FLH 1973年

「鍵を埋め込むのはよくやってる。これは20年前ぐらいからやってるんですけど、最近ですもんね言われ出したのが。誰も気づいてくれはらへんから(笑)」

ハーレーショベルのチョッパーボバー FLH 1973年

マフラーにしても、エンド部を外注の絞り屋でわざわざ巻いてもらって丸みを出すなど、全体とのバランスを計るための手間を惜しむことは無い。一事が万事そうである。今や古豪の部類に名を連ねる同店だが、そのポジションに甘んじることのないバイタリティに、氏のカスタムへの丹心を目撃する。

HARLEY-DAVIDSON FLH 1973 DETAIL WORK

ショベルヘッドのチョッパーボバー FLH 1973年のハンドル

HANDLE

ハンドルは無垢の鉄棒から旋盤で削り成形した一本物。ライザーは曲げた鉄パイプを受け口に差し込んで固定。

ショベルヘッドのチョッパーボバー FLH 1973年のフロントフォーク

FRONT FORK

フォークはストックサイズの74スプリンガーで、ヘッドライトはSHOWA製のトラック用フォグランプを選択。

ショベルヘッドのチョッパーボバー FLH 1973年のガスタンク

GAS TANK

タンクは市販のピーナツをベースにして中央で約2cmほど詰め製作。ゴールドピンラインはシンプルにドロウ。

ショベルヘッドのチョッパーボバー FLH 1973年のオイルタンク

OIL TANK

同店が昔から手掛けるオイルタンクに埋め込んだイグニッションキー。シフトステーにも丸みを持たせている。

ショベルヘッドのチョッパーボバー FLH 1973年のマフラー

MUFFLER

アールの付いたエンドの処理もよくやる手法の一つ。外注の絞り屋に依頼して手作業で巻いてもらい完遂された。

ショベルヘッドのチョッパーボバー FLH 1973年のリアエンド

REAR END

市販のサイクルフェンダーにオリジナルのフェンダーチップを装着。ステーも丸みを付けたデザインに加工。

BUILDER’S VOICE

HOT CHOP SPEED SHOP

住所 京都府久世郡久御山町森三丁29-8
電話 075-632-7888
FAX 075-632-7888
SHOP HOT CHOP SPEED SHOPのショップ紹介
営業時間 12:00 ~ 19:00
定休日 水曜日、第2日曜日