HARLEY-DAVIDSON FXE 1974
SEVEN MOTORCYCLES
不器用な男の
ラブバイツ
「嫁のバイクなんですけど、最初はタンクありきだった。先輩の店に行った時にこれ欲しいって。アエルマッキのラピードのタンクを使って、これに合う雰囲気でショベルを作ってくれみたいな」
店主の鈴木さんはイメージを沸かせている際に、’71年前後のFXモデルに採用されたボートテイルを作ってみたくなり、それをワンオフした。ノーマルではサイズが大きく幅もあることから、当初は各部を詰めて調整しようと考えたものの、素材が手間の掛かるFRPであることを知ってあえなく断念。そう、これは、わざわざ一枚の平板から製作した渾身のセクションだったりするわけだ。
そして、マフラーだって手が込んでいる。エンド部分にカワサキKHタイプを使い、なんとサイレンサー部分は平板を巻いて製作。通常、パイプを繋ぎ合わせて成形するのが一般的だが、この口径に合う膨らみを持った物がないため、いわば力技とでも言うべき強硬策を取ったのだ。
「膨らみを持つように絞りながら巻くことって出来ないんで、イングリッシュホイールとかを使ってもう無理くり(笑)。本当はこんな作り方しないんでしょうけど」、と氏は苦労の跡を包み隠すことなく語る。確かに、この手の加工は型で作るものだろうが、それは大量生産を前提にした話。一品勝負の男たちの選択肢は限られてくる。
全体を見れば、女性がオーナーというのが伝わってくるどこか華のあるスタイリングである。ストックフレームにニッケルメッキをかけて落ち着いた光沢を出し、前後21/18インチのホイールリムにタンクと同色のカラーを塗ることで、周囲をパッと明るくするかの女性特有のあでやかな空気感が醸し出されている。
そして、FXR用をベースにしたオイルタンクは、乗り手に合わせてどうしてもセル付きにする必要があったため、バッテリーの収納スペースを確保した上で製作。更に、カワサキZのリアショックを流用した箇所も隅に置けない。曰く、「この丸いのがかわいいなと思って(笑)」、という理由でチョイスしたそうだが、この辺のハーレーだけにとらわれない自由な発想も同店の個性であろう。
なんとなく、薄々感じていたのだが、『嫁』というキーワードに何故か引っ掛かった。断っておくが、店主の鈴木さんは決して多くを語るタイプではない。が、その節々に彼女への真摯な想いを感じさせる言動が見え隠れした。そこで、何の気なしにショップ名の由来を訊ねると、若干照れくさそうに嫁の名前から取ってるんだと言う。なるほど。つまりは、そういうこと。
HARLEY-DAVIDSON FXE 1974 DETAIL WORK
FRONT FORK
純正フォークにホイールは19から21インチへ変更。それに合わせてフェンダーも幅やアールを合わせて成形。
GAS TANK
カスタムの起点になったアエルマッキ・ラピードのガスタンク。この雰囲気に合わせて全体を製作していった。
SEAT
ボートテールと見事な一体感を生むシートもワンオフ。シンプルなデザインで流れるようなフォルムを形成。
REAR SHOCK
カワサキZ用のリアショックを流用。反射板のデザインを取り入れ統一感を出している。リアは油圧ドラム化。
BOAT TAIL
快心の部分である鉄板でワンオフしたボートテイル。嫁の注文を受けて初代FXをモチーフに短く詰めて製作。
MUFFLER
リアショックに続いてKHのエンドを使用。膨らみを持たせた部分は平板を巻いて仕上げたオンリーワン。
BUILDER’S VOICE
SEVEN MOTORCYCLES
住所 | 宮城県仙台市青葉区北根黒松1-11 |
---|---|
電話 | 022-347-4014 |
FAX | 022-347-4014 |
SHOP | SEVEN MOTORCYCLESのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 火曜日 |