H-D FLH 1968
SEVEN MOTORCYCLES
フェイクを蹴散らす
四海のディスチャージ
このチョッパーが一級品かどうか。むろんそんなことは見れば分かる。それどころか、見るほどに耳から首筋にかけて鳥肌が立つような圧倒すらある。しかもそこに蠱惑(こわく)的な色香がそよいでるもんだから、そうやすやすとこの現場から離れることはできない。いや、離れたくはない。
‘66年のアメ車のNOVAに乗ってるオーナーが「並べて絵になるようなチョッパーが欲しい」ということから始まったプロジェクトだ。これまでの『セブン』が手掛けてきたチョッパーを気に入ってくれてたため、相手の希望を汲み、あとは作り手の鈴木さんに完全にバトンは渡された。
「ウチのやりたいカスタムでやらせてくださいってことで了解してくれたような。細身でフリスコスタイルっぽい、バーッ!って走れそうな雰囲気の綺麗なバイクを作りたかったんです」
実際の製作にあたっては、どこか数箇所にこだわって作るのではなく、何よりも全体のバランスを重視。これは同店の変わらぬスタンスで、その中で例えば今回なら、シートマウント下に空洞を作ることでのアイキャッチと野暮ったさの排除といった独自のスぺシャルが披露されてゆく。
また、リアフェンダーステーひとつ見ても非凡な才に溢れている。平板を使って造作されたステーは3Dデザインとなり、炙って曲げて何度も調整しながら帳尻を合わせて完遂したものだ。
そして、こうした手作業でしか成しえない作り物はトップパネルをえぐって随所をシェイプしたガスタンクや、フレームの内側を通したマフラー。
更には、マフラーの『逃げ』を狂いなく合わすために外しては削り微調整を重ねて着地させたオイルタンクと、細大漏らさずに発動。手間暇の概念すら吹き飛んでしまうほどの手数と時間が惜しみなく投入されている。
「全部こだわったし全部しっかり作りましたけど、ここ凄いみたいなのはないです。時間をかけてバランスは凄いこだわりましたっていうぐらいですかね」。近くで見たり離れて見たり、時にはリフトから下ろして斜めから見てカタチを吟味していったそうだ。
もっとも、このチョッパーが颯爽と駆けるライディングといったらない。スタイルが一級品なのはもう言った。というより、カスタムショーに出展されるバイクのほとんどは眩い。
でも実際に走る姿も合わせてみた場合、その次元に残るのはごくわずかだ。とどのつまり、走る姿にこそショーバイクの実体は宿り、作り手とバイクとの距離感が明確に現れる。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1968 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークは41φの6インチオーバー。ボトムケースを削りクリーンにスムージング。三つ又は大神戸共榮圈製。
GAS TANK
バナナタンクをベースに加工。トップパネルをえぐり全面をシェイプ。前後マウント部も同店ならではのパート。
OIL TANK
マフラーの軌道がピタリと収まるようタンク側を削りフィッティング。お互いを外しては微調整が繰り返された。
FOOT CONTROL
美しいアールラインを基調としたフットコントロールはワンオフ。手作業でしか作れない興趣に重きを置く。
MUFFLER
オーナーの希望でマフラーはフレーム内側を通す。3Dステーやナローフェンダーなど各所に繊細な作りが現れる。
SEAT
アイキャッチになるデザイン性の高いシート周り。セオリー通りの配置では野暮ったくなるためスペースを創出。
BUILDER’S VOICE
SEVEN MOTORCYCLES
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