HARLEY-DAVIDSON FXS 1981
CYCLE WEST
田舎の農夫を想起した
一期一会のカービング
「このバイクのオーナーとは杉並のSO JAKE(※レザーショップ)さんのとこへ遊びに行った時にたまたま知り合ったんです。彼がそこの常連だったんですね。で、その日に皆と一緒に飲むことになって、その後も何回かウチに通ってくれるようになって注文を受けた形です」
代表の西山さんが打ち合わせの内容で鮮明に覚えているのが、『アメリカの田舎の農夫が乗ってる感じ』という要望だった。そしてそこに、身長が高く、普段オーバーオールをよく着るオーナーをイメージして仕上げたのが、このアイボリーフレームが特徴的なチョッパーである。
「僕の中ではこのイメージだったんですよね(笑)。オーバーオールを着た背の高い人が、ゆったりしたポジションでエイプハンガーを握ってるような。昔からあるスタンダードなカスタムスタイルとかぶったんです」
イメージを膨らませて形にする。想像力と、創造力をフル動員して産み出すたったひとつの『夢』が、オーナーの胸に刺さらないはずがない。なにせ四六時中その人のことを考え、悩み、心躍らせているんだから、ある意味付き合いたてのカップルと同じほどの思いがそこにはある。相手の喜ぶ顔が見たいという欲求は、いつだって普遍的なモチベーションだ。
では、特徴的なフレームカラーに視線を移そう。同店が重きを置くポイントに、『フレームラインがはっきり見えるように』というのがある。ここを押さえて初めて格好良く映るというセオリーを持つ氏は、フレームが黒なら外装にクロームパーツを使うなど、メリハリのある色使いを心掛けているそうだ。今回もエンジンとタンク、フェンダーを対照的なブラックに統一することで、狙い通りのラインを鮮やかに浮かび上がらせている。
フロントにW&W製のVLフォークを付け、ハンドルはオールドタイムな雰囲気を出すため敢えて幅の広いエイプハンガーを装着。シートも同じ理由から、SO JAKEの手によりワンサイズ大きめなKモデルのサドルシートをベースに厚めに製作された。またマフラーも、至ってシンプルなパウコのスラッシュカットをそのまま使用。これらはすべて、「スタンダードなんだけどなんか良いよね」、という印象を狙ってのものだと笑う。そして最後に、なんと言ってもシートだと、話をこうくくった。
「バイクうんぬんの前にシートが無ければ始まらなったストーリーなんですよ(笑)。元はと言えばそこで出会ったお客さんですから。だからこの綺麗なカービングが一番の見せ場というか、もういろんなことが詰まっている箇所です」
HARLEY-DAVIDSON FXS 1981 DETAIL WORK
HANDLE
当時の土っぽさを醸し出す幅のあるエイプハンガーを、わざわざ鋳物用の溶接棒を使って三つ又にセットする。
FRONT FORK
フロントフォークはW&W製のVLレプリカを装着。そのボリューム感に合わせてヘッドライトをチョイス。
GAS TANK
フレームラインが綺麗に出るようピーナツタンクをハイマウント。ピンラインは420KUSTOMSが担当した。
ENGINE
輸入した時からブラックアウトされていた着色を生かして全体をリフレッシュ。キャブにEキャブを合わせる。
SEAT
最大のポイントになる精緻なカービングシートはSO JAKEによるもの。氏はシャープなラインに惚れ込む。
FENDER STAY
全体に映える凝った造形のステーは勿論ワンオフ。曰く、「たまにこういうのをやってしまう」とはにかみを見せる。
BUILDER’S VOICE
CYCLE WEST
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