YAMAHA SR400 1998
FLAKES
4cm+5cmで導く
往年の英国スタイル
「当初オーナーさんからは、どういうカタチにしたいというイメージを聞かされてなかった。なかなか教えてくれないし、でもそのまま進めるわけにもいかないんで、こちらから何が作りたいのって。そしたらようやく、オールドトライアンフ風にして欲しいと明かされたんですよ」
その返答を受けてからカスタムの進行は早かった。1998年式SR400をベースに、『オールドトライアンフ』というコンセプトに従って、主に2つのポイントに注力して作業は進められた。スイングアームの水平ラインと、エンジンのチューンがそれである。
まずスイングアームについてだが、オーナーの要望で水平ラインを出すためにXS650用を流用した。それはリアハブにXS用を使っているからで、まずはそこを4cmほどショートカット。そして水平を出すとリアショックが入らなくなるので、ちょうどオイルタンクの両脇で上下に走るフレームを左右とも5cmずつ延長した。これによりオーナーが望んだ水平ラインで巧くリアショックを収めている。
「まあバイクの場合、スイングアームを水平にするのはスペック的にあんまり良いことではないんだけど見た目重視ということで加工した。厳密には若干下がってますけどわりと水平は出せたと思いますよ」
仕上げにイギリスのヘイゴン製320mmショックを装着することで、イメージ通りのクラシカルな雰囲気を入手している。そしてお次は、代表佐藤さんの得意とするエンジンチューンだ。
546ccにまで排気量の上げられたエンジンは、まず500ccの組み立てクランクを使い、芯出しした上でズレないようにピン溶接を施行。そして再度きっちりと芯出しを行った上で、デイトナ製ビッグシリンダーとJE91mmピストンをセットアップ。更にヨシムラのカムとポート加工、オイルラインのツイン化で勝手知ったる魅惑的な乗り味を実現している。
他にも、左右非対称のFRP製電装ボックスなどにも一見の価値が潜む。FRPの加工物も得意だと話す氏は、出先でトラブった時でも対処出来るようにメンテナンス性に配慮して製作。右側を小物入れとし、左側に電装系を集約して、カバーを外せばすぐに作業出来る設計とした。また、シートを外した上側からもアクセス可能とすることで、対応の幅を広げている点も特徴的だ。
「何かあった時に手が出せないのは嫌だから、メンテナンス性を考えたカスタムを心がけている」、という同店のポリシーも反映されたオールドスタイルのSRである。
YAMAHA SR400 1998 DETAIL WORK
HEAD LIGHT
ヴィンテージのスーペリア製を装着。三つ又はパウコ製のヘッドライトブラケットが使えるように加工済み。
GAS TANK
タンクはハーレーのバナナタンク風にスチールでワンオフ。技巧を凝らした塗装はもちろん同店によるものだ。
ENGINE
エンジンチューンも得意とする同店は排気量400から546ccへスープアップ。秘伝のノウハウが注入される。
FRAME
逆三角形のフレーム箇所、オイルタンクの両脇部分を約5cm延長。これによりリアショックを巧く収めている。
SEAT
シートはオーナー持ち込み品で、裏側を全部作り直してシートも全て張り替え。ループフレーム加工が施される。
REAR END
リア周りはXS用を使う。マフラーのエキゾーストはワンオフで、サイレンサーはヴィンテージのスーペリア製。
BUILDER’S VOICE
FLAKES
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