HARLEY-DAVIDSON FLH 1968
STOOP MOTORCYCLES
丸くやわらかく無理をしない
イケた男のマッチョスタイル
丸か、四角か。カスタムの取っ掛かりに掲げたテーマはただそれだけ。毎度のことながら、店主の『モーリー』こと生森さんに話を聞くときはワクワクする。何にしてもこと細かに説明するタイプじゃなくて、どちらかというと抽象的な言葉の方が多い。でも、そこで諦めずに食い下がって聞けば、ちゃんと丁寧に、分かり易く応えてくれる。そして最終的に、その断片をつなぎ合わせると、スーッと一本の筋が通ってしまう。そんな人だ。
で、今回は『丸』で行くことにしたそうだ。もうそれだけで納得のスタイリングである。ここでもし、氏と面識が無ければ、「へっ?」とまごついただろうが、ある程度の球種を覚えた今ならすんなりとその言葉をキャッチ出来る。要は、感性が人一倍豊かな人だから、具体的な単語ではどうしても意図した世界観を表現しきれないのだ。
とにかく見て欲しい。360度、ストゥープスタイル全開である。チョッパーファンならこのフォルムを前に、心ときめかずにはいられないはずだ。胸がキューッと締め付けられるような、あの淡い青春時代を思い出してしまうといったらもはや変態だろうか。
レプリカフレームからピックアップしたい。鋳物の印象が重過ぎず野暮ったくならないように、各つなぎ目はパテをほんのりと盛ってモールディング。角を立たすことなくやわらかな印象を出し、オイルタンクもそれに追従する。そしてハンドルも同じセオリーで、やさしく曲げた中空ライザーに中空パイプをジョイント。つなぎ目にロウを流し込み、見事な曲線美に仕上げている。その造形を損なわないようインナースロットル化するなど抜かりも無い。
マフラーはどうだろう。得意技のシェイプにも、実は知られざる過程がある。まず、アーリーショベル以前のカムカバーの造形に惚れ込むモーリーさんは、ココを隠したくはなかった。だからまず、それに合わせてブレーキ周りをリメイク。また、いつも通り右側から取り回せば、フロントパイプを逃がすためどうしてもカムカバー下で潰してしまう。それが嫌だったという経緯あっての左からの取り回しなのである。ただイケてるだけじゃなく、譲れない『美』を追求した結果生まれたカタチだったりするわけだ。
最後にペイントである。色味は氏の好きなベスパのカラーリングから拝借し、フレイムス蛇のデザインはモーリーさんで、最終的にマスキングをつなげて塗り上げたのは、既に一線を退いているペインターのマイクさんが担当。二人で、「ああでもないこうでもない」とマルーン(えんじ色)やレッドカラーを加え試した結果行き着いたのが、このしっとりと落ち着いたカラーリングだ。
丸か、四角か。今回は『丸』で進められたカスタムにその理由を尋ねれば、「やさしいから」とひと言。思わずガッツポーズしたくなるような胸の透く答えが返って来た。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1968 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークはFXEの純正35φを装着。トリプルツリーのホールを穴埋めしてスムージング。丸みを演出している。
HANDLE
ライザー一体のハンドルはウインナーを思わす形状に中空のライザーを曲げて、両側からパイプをジョイント。
GAS TANK
フレイムス蛇のデザインはモーリーさんでペイントはマイクさんが担当。あうんの呼吸ありきのセクション。
ENGINE
愛して止まないカムカバーの造形。1200ccエンジンにはBキャブをセット。ファンネルはデン製をメッキ加工。
SEAT
シートはもちろん真横に店を構えるスカンクによるもの。フェンダーはFXのフロント用をモディファイした。
MUFFLER
同店のオハコ的パート。この角度に長さと文句無しの形状である。フロントパイプにはショプ名が刻まれる。
BUILDER’S VOICE
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