H-D FXWG 1981
Groove Works

一個小隊に浴びせる
連続したアサルトAKM

純然たるカスタムである。長い歴史をまとった色あせた外観がアイデンティティの『サバイバー』や、難攻不落なまでの人気を持つ『フリスコスタイル』。

そうした数々のチョッパースタイルがそれぞれの趣味嗜好で支持される中で、この一台は古くからカスタム業界の諸先輩方があたため、ブラッシュアップし続けてきた、煌びやかな空気で身を包んだショーバイクサイドにひときわ力点を置いたものだ。

もし指紋や手あかが透けて見えるのなら、全体に渡りくまなく付いてるのが想像できる作りだ。また、オイルタンクのマウントステーやエンジンハンガーを兼ねたメーターブラケット、フェンダーストラットといった造形ひとつ取っても気概に溢れている。

作り手の溝尻さん本人の控えめな人柄とは逆に、バイクに宿る好戦的な「やってやる感」は強烈だ。

オーナーからの要望はチョッパー。そこに予算と溝尻さんの好みを踏まえて4速フレームを使い製作に当たった。まずポイントとして、「難題とされる4速フレームでいかにバランスの良いチョッパーをカタチに出来るか」に意を注ぎ、ネック周りの改良から手を進めた。

フレームのメインチューブ下の補強パイプを取り払い、そこに新たにガセットプレートを入れてクリーンに修整。次にメインチューブからの直線ラインを活かしたままシートレイルを落とし込み、そこに4インチロングのフォークを実装。端整な三角フォームとネック部をわずかに上げたかの視覚的効果を入手している。

一方、ディテイルの呼び込みも黙ってない。サス付きの4速フレームのためシッシーバーはメインフレームに固定。しかしボルトオンにありがちな画一的な創作にしないよう心掛け、フェンダーストラットを兼ねた滑らかなアールラインを基調にしたデザインで謹製。

そしてオーナーの足位置に合わせたステップマウントも、それに準じて縦型のブレンボ製マスターをわずか空いたスペースにきっかりと配備。

他にも、先のオイルタンクのマウントステーやメーターブラケットを始めとした真鉄による饗宴に、セルモーターを回避して巧みに取り回したクラッチリンケージと、その作り手の幻影は、時に愛撫し、時にひざまずきながら、常にそのそばから離れようとはしない。

黒一色で彩られた4速フレームのチョッパー。カラーリングの派手さがない分初見のインパクトは落ち着いているが、一歩踏み込んでから連続する戦果は穏やかではない。

HANDLE

スリットが入る部分だけ無垢棒を使い旋盤で切削。その後内部をくり抜き配線を中通し。ライザーはFORK製。

GAS TANK

ピーナツタンクの幅を詰めてナローに製作。仕上げに鉄の丸棒を使い、センターにリブを溶接。塗装で綺麗に均す。

SHIFT LINKAGE

セル付きの要望だったため純正モーターをうまく避けたリンケージを構築。メカニカルな雰囲気を醸す部位。

OIL TANK MOUNT

オイルタンクマウントとイグニッションキーを一体化させたステー。飾りでなく実用性から成るアクセントパート。

MUFFLER

ディンプルパイプを使いワンオフ。エンドはわずか外側へ向ける。ステップ後方にブレンボ製マスターを配置。

FENDER STRUT

フレームで支持したストラット兼シッシーバー。退屈なデザインにならないよう動きを付けた造形で仕立てる。