H-D FLH 1966
MOTORI GARAGE
蝶のように舞う
ロンサムカウボーイ
攻め込んでいるつもりが、まぶたが腫れ上がっているのはいつしか自分のほう。ファイティングポーズを取ってはみるものの膝が笑い、焦点も定まらず、意識が戻ったときに目を開けてみればそこは静まり返った控え室のロッカー。
百戦錬磨といえば大げさだが、並みいるチャレンジャーをことごとくリングに沈めてきたスマートな戦術を持った仙台の『モトリガレージ』によるブランニューである。
強打ではなく、あくまでも全体を俯瞰(ふかん)してベストな箇所に連打を繰り出す同店だが、今回もそのバランスの取れた攻勢に異変はない。
「これはスタンダードなスタイルで、ちょっとフレームの色とかで遊ぼうかみたいな話でしたね。お客さんの要望がざっくりしてたんで、ある程度自分らの好きなように作らせてもらってる部分も多いです」
その中に、色味やオーナー自身が持ち込んだガスタンクなどで乗り手のキャラクターを反映させた感じだと、店主の鳥居さんは言う。下手に手を加え過ぎずに飽きがこない。流行り廃りとは距離を置いた、乗ってて絵になるチョッパーが同店の全裸的処世術である。
まず、フレームの色を見てみたい。一般的な黒でもなく、また外装と同色でもなく、若干くすませたブルーである。昔のトライアンフの資料を参考にしたというカラーリングだが、このさり気ない選択が玄人度を増し、スタンダードの度合いを高めている。
ホイールは前後21/18インチで、フォークは最終型の33.4φを装着。そしてヘッドライトバイザーにはアイアンショベルのレプリカを用い、ライザーとハンドルに’73年からのFXショベルの純正品を採用。シートは同じく宮城県のカスタムシートショップ、ジミードープによるワンオフである。
一方、オーナー持参のガスタンクは’79年タイプで、マフラーはパウコ製を加工してセット。リア周りの5インチフェンダーはなるべく細めの丸棒を使ったシッシーバーで支持している。これら各所のディテイルをあうんの呼吸で結びつけ、景色の良いプロポーションに『見える化』する手際は毎度のことながら軽妙。しかしそうした鮮やかな舞台裏では、やはり人目を忍んで格闘する作り手の一家言(いっかげん)があるようだ。
「エンジンミッションもそうだし、ドラムブレーキもちゃんと止まるためには結構やることがあります。やっぱり快適に乗るために地味な作業っていうのは多分みんなが思っている以上にやっていると思います(笑)」
HARLEY-DAVIDSON FLH 1966 DETAIL WORK
HANDLE
ライザーとハンドルは’73~’80年ぐらいまでのFXショベル純正品を使用。操作性とルックスを兼ね備えた部位。
FRONT FORK
フォークは’71~’72年辺りの最終型の33.4φを選択。ライトバイザーはアイアンショベルのレプリカ品を装着。
GAS TANK
ガスタンクはオーナー持ち込みの’79年のスポーツタンクをマウント。タンク後方左にSMITH製メーターを設置。
PRIMARY COVER
プライマリーカバーは’55年以降のレプリカを使用。ステップ周りは車体の雰囲気に合わせてシンプルに製作。
SEAT
ダブルシートは宮城県のカスタムシートショップ、ジミードープの仕事。ボリューミーなラインと乗り心地を均衡。
MUFFLER
フロントはパウコ製でリアパイプは形状が合わないためワンオフ。エンドのカクテイルシェイカーはレプリカ品。
BUILDER’S VOICE
MOTORI GARAGE
住所 | 宮城県仙台市泉区松森字前沼52-1 |
---|---|
電話 | 022-342-8552 |
FAX | 022-342-8553 |
SHOP | MOTORI GARAGEのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 火曜日、水曜日 |