
YAMAHA SR400 1995
SKULL MOTOR CYCLE
頭を抱えさせられる
奇想天外なカフェレーサー
面白い時代になってきたというのを実感する、奇異なカフェレーサーがある。見れば見るほど考えさせられるそのカスタム具合。
昔からバイクに興味があった人なら「こんなのあった!」と懐かしさを覚えるかもしれないが、あまりにマニアックな機構にいまは見かけることがなく、21世紀になってからバイクに興味を持ちはじめた人ならそれを知る余地はない。

このカフェレーサーの製作は、およそ20年前だったという。
「リアサスペンションがあるべき位置だったら格好悪いんで、前に寄せたんですよ。そしたら軸点の問題で柔らかくなりすぎて」と、SKULL MOTOR CYCLEの店主、梶谷さんが語りはじめる。
解決策は、’80年代のレースシーンに登場したフルフローター機構だった。

「普通のサスペンションはスイングアームが上がることによって下から上に押すだけだけど、フルフローターは上からも下からも押すけん」とその仕組みを解説する。
スズキが開発したフルフローターシステム。ヤマハのモノクロスに対抗して開発された画期的な機構はGPレーサーに投入され、のちに市販車にも装着。いまなぜかその機構を採用する市販車はないが、このカフェレーサーには意味あるシステムとして投入された。

‘80年代のレースシーンは、革新的な機構が次々と登場した。そのひとつがモトエルフのハブセンターステアリング。クルマのダブルウィッシュボーンの片側だけといった感じのシステムだが、そのハブセンターステアリングを前後サスに採用していた。
かつての異端児、モトエルフを思い出させるこのカフェレーサーのフロントには、片持ちではないがハブセンターステアリングが採用されている。

「頭の中で『こうやったら、ああなるな』っていっぱい考えてから作り出したんだけど、『ここをもうちょっと』とか、作ってみてから初めてわかることもある。人がやってないようなことをやりたいですよね」
ありきたりのカスタムをトレースするのではなく、新たなチャレンジをすることでカスタムシーンがもっと面白くなると続けた。

このSRを製作したころは、溶接機と旋盤だけでなんとかしていた。そのころとは違い、現在はスプラインを1本から切ってくれる鉄工場もある。ますますカスタムシーンに自由が生まれてくれる素地が整っている時代。
見れば見るほど発見がある奇想天外なカフェレーサーが、未来のカスタムシーンを想像させた。
(文/野上真一)
YAMAHA SR400 1995 DETAIL WORK

FRONT SHOCK
この単体写真を見るとリアと勘違いするかもしれないが、ハブセンターステアリングを採用したフロントだ。

FRONT FORK
フロントフォークはなくフェンダーは片持ちとなる。ステアリングロッドを兼ねるトルクロッドはワンオフ。

GAS TANK
細くレーシーなガスタンクはホンダドリームがベース。製作者の梶谷さんは昔からスタイルが好みだという。

REAR SHOCK
リアショックに採用されているのは通常の1本サスではなく、フルフローターという独特な動きをする機構。

SEAT COWL
ガスタンクに合わせてシングルシートとカウルを製作。マフラーは右出しのメガホンタイプとなっている。

REAR TIRE
フルフローター機構により軽快なイメージを与えるリア周り。タイヤは18インチ、フロントは19インチを装着。
SKULL MOTOR CYCLE
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H-D S&S KNUCKLEHEAD
H-D FLSTS 1991




















