
H-D FX 1977
WHEELERS
合間を見つけては注ぎ足す
規定量からこぼれる満足度
「このバイクはちょっとホイールベースを短くして、街中でもクイックなハンドリングが出来るような。でコンパクトで乗ってて楽しいチョッパーというのを作るイメージで進めていった車両ですね」
ハーレーのショベルヘッドエンジン以前のオールドチョッパーを中軸に手掛けるショップの仕立て下ろしだ。とはいえ、実は製作にゆっくりと4、5年の歳月を要した濃縮の一台でもある。
「期間としては仕事の合間合間でこう、手に入れたパーツを付け替えてみたりということもあって結構時間がかかってます。アメリカ行った時のスワップミートで見付けたパーツを組み込んでみたり、その時その時の気分というか(笑)」
作り手の大原さんの嗜好でカタチにしていったものだと言う。造出にあたっては、コンセプトは特別決めずに、感覚的に惹かれるパーツやマシンバランスで組まれたものだ。そして、その氏の傾倒する世界観をまるっと再現した一台は、やがて新オーナーの元へと手渡された。
王道のリジッドフレームではなく4速フレームを使ったチョッパーである。狙ったスタイリングへ導くのに、リジッドフレームに比べて若干の試行錯誤を要するフレームとして知られるが、まずはネック周りから着手された。
ネック角をわずかに立てて、次いでシート下のフレームをほんのりドロップダウン。メインチューブのストレートラインを形成するのと同時に、リアのリジッドバーの上側マウント部分を、アーリーショベルのそれに倣って水平ラインを保ったまま遂行した。
フォークはコロナ禍前に通っていた米国のスワップミートで買ったもので、状態が悪かったものをオーバーホールしてセット。ガスやオイルタンク、マフラーも同様に、現地の空気感がいまだ漂うかの有機なものを装着し、ジャストな収まりどころに配置した。
「実際乗るにしても扱いやすいバイクだし、見た目もすごい気に入ってますね。4速フレーム使って、スインガーチョッパーというか、なんか見れば見るほどカッコいいなって自分で毎回思ってる車両です(笑)」
alley cat(アレイキャット)。マシン名を付けた方がこの先愛着も湧くしきっと良いはずだと、オーナーを交えてああでもないこうでもないと難産の末に命名した名前だそうだ。
それは裏路地の野良猫のイメージで、誰にも飼われずに自分のルールで生きる意味ですねと、大原さんはほくほくと、周りを一手に抱き込む笑顔をのぞかせる。
HARLEY-DAVIDSON FX 1977 DETAIL WORK
HANDLE
スタンダードなハンドルとライザーは店にストックしていた物を使用。ソリッドなコックピット周りとなる。
FRONT FORK
米国のスワップミートで購入した約2インチオーバーの33.4φフォーク。状態が悪く一度バラした上で組み込み。
GAS TANK
ガスタンクも同様に現地のスワップミートで買った物を使用。キャップは福島のキングスカスタムペイント製。
FOOT CONTROL
ミッドハイの乗車姿勢を形成する操作系は市販パーツをセット。シフトノブはオーナー自ら買い求めた一品。
MUFFLER
マフラーはシンプルなダウンタイプながらエンドはターンアウトとなる。サスペンション機能は潔くリジッド化。
REAR FENDER
名品クレイジーフランクのレプリカパーツを設置。野卑でない淡いピンクカラーで全体を彩り上品に演出する。
BUILDER’S VOICE
WHEELERS
住所 | 愛媛県宇和島市吉田町知永4-199-1 |
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電話 | 0895-24-1536 |
FAX | 0895-24-2528 |
SHOP | WHEELERSのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 17:00 |
定休日 | 木曜日、第1・3日曜日月曜日 |