
H-D FXE 1981
WHEELERS
エゴイズムを発揮する
フリスコチョッパー
カスタム車両を作り上げるとき、多くの場合は2つの思考が交差する。それはビルダーがいて、オーナーがいるからだ。もちろん「全部おまかせで」と100%をビルダーに委ねてくるオーナーもいるとは思う。
しかし、おまかせであってもビルダーは「方向性は?」「エンジン形式は?」と少なからずオーナーに意見を求めることになり、全部をビルダーの意思で作り上げることはほぼほぼない。
2つの思考が完全に合致すれば、それは1+1=2となり、ビルダー1人では成し得なかった新たなる造形のカスタムマシンが生まれることもあり得ることだろう。しかし……。
なんともシンボリックなフリスコチョッパーが1台誕生した。ホイールまわりはフロント19、リア16のセットアップとストックのまま。
でも、純正のナローなフロントフォークには6インチオーバーのインナーチューブが組み込まれ、ネック角が立ち上がっているフレームにより、完成されたシルエットは純正スタイルと程遠くなる。
フレームパイプは有機的な造形へとモールディングが施され、ガスタンク下ダウンチューブは丁寧なスムージングにより埋め込まれている。長めのライザーにスキニーなリアフェンダー。’70年代のサンフランシスコ、カスタムシーンを彷彿させる1台だ。
このフリスコチョッパーを造り上げたのは、愛媛県宇和島にファクトリーを構える『ウィーラーズ』の代表、大原さんだ。
「フリスコって好きなんですけど、あんまりそのスタイルを作ったことがなかったんですよ。それで『ちょっと好きに作ってみようかな』って、モールディングしながら思いついて」と、このショベルにはオーナーがいなかったので、ビルダーのエゴイズムが発揮できた。
それでもいつかはオーナーがつくことも予想し、ガスタンクはオーナー好みに換えられるようスムージングを施さず、ボルトオンで交換できるように配慮されている。フットコントロールまわりも然り、オーナーの体型や足を置きたい位置の好みがあるだろうから、現在は仮付けだ。
ボディカラーはヴィンテージ楽器から着想を得た。「フェンダーUSAの古いベースに、すっごくイイ色があって。それに近い色を作ってもらったんです」。
ヴィンテージ楽器とヴィンテージモーターのショベルヘッド、それにフリスコスタイル。エゴイズムの塊であっても、時代背景が合うからこそ無理がない。主張しすぎず、自然体で乗ることのできるチョッパーとなっているのだ。
(文/野上真一)
HARLEY-DAVIDSON FXE 1981 DETAIL WORK
FRONT FORK
純正フォークに6インチオーバーのインナーチューブを組み込み、そこにビルトウェルの長めのライザーが加わる。
GAS TANK
曲線で構成される滑らかなエッジが入ったタンク。次オーナーのことを考えフレーム一体式ではなくボルトオン。
ENGINE
‘84年まで製造されたコーンショベル。ダウンチューブのモールディングが往年の’70年代スタイルを彷彿させる。
OIL TANK
トラッシュデポ製のオイルタンクを装着し、その横にスイッチを配備。内部のケース内にはバッテリーを収納。
REAR FENDER
タイヤ幅ギリギリに詰めたフリスコフェンダー。テールランプを組み込んだ段付きの造形に単一で製作された。
MUFFLER
磨き込まれたクロームメッキマフラー。FORK製ヒートガードを配することで長さ違いの2本の違和感を払拭する。
BUILDER’S VOICE
WHEELERS
住所 | 愛媛県宇和島市吉田町知永4-199-1 |
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FAX | 0895-24-2528 |
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