H-D FL 1947
WHEELERS
はるかな物語を空想する
幻影のオーバーザトップ
愛媛県の中心地松山市から宇和島市。距離にして約100km弱の道のりを颯爽と、この今から80年近く前に製造されたナックルヘッドを駆って店主の大原さんは現れた。
最近松山市にコーヒーショップをオープンさせ、拠点となる宇和島市とを往復する日々を送っているそうだが、その足に活躍しているのがこの’47年式FLだ。これまでの滋味あふれた年月を誇示するかの風合いが、なんとも身に染みる佇まいを見せている。
「これはアメリカから仕入れてきたもので、大きなスタイルはほぼそのままです。コロナ禍ぐらいの時にFOR SALEの情報が入ってきて、その時はまだエンジンがオーバーホールの途中だったんですけど購入したんですよね」
そのショップの『色』が全面に出たチョッパーだったそうで、スタイルに惹かれたこともあって買い受けたと言う。しかし今回の取引が初めてのため、オーバーホールに関しては正直心配が残る。本当にしっかりとエンジンを直したものが届くのか、中途半端な状態のままで来てしまわないか。これは海外の一見の相手とのトレードでは避けては通れない気苦労だろう。
「フルオーバーホールとは言いながら着くまではちょっと分からなかったですけど、毎日乗ってみてよく整備されてる車両だなとは思います。来た当時はそれこそ点火系が全然ダメで1kmも走らないうちに止まったりはしましたけどね(笑)」
余談だが、実はこの車両、映画スターのジェイソンモモアも現地で目を付けた車両だったそうで、既に大原さんが購入済みのところへ、「俺も欲しいからその日本人に相談してもらえないか?」と持ちかけられ、それを丁重に断ったものだと氏は笑みをこぼす。
スタイル的にストライクだった外見はそのままに、細かな部分に手を入れ、より自分色に染め上げている点も口当たりがいい。
元々付いていたリアフェンダーのバランス取りや、全体のヤレた肌触りに合わせて製作したシッシーバーとハイウェイバー。
また底板を修復した純正ハマータンクに、長年愛用する移植したシートと、ステップ位置をわずかに上げたフットコントロールなど、このチョッパーが本来持つ姿容と歴史を邪魔することなく、自分が最も心落ち着く景色になるよう濃度が高められている。
この手のチョッパーが長い年月をかけて内包してきたストーリーは決して知り尽くせない。でもその片鱗は、オーナーだけが自由に空想することができ、互いの鼓動がシンクロした瞬間にだけ時空をこえる。
HARLEY-DAVIDSON FL 1947 DETAIL WORK
HANDLE
ヴィンテージのライザーに出所不明のハンドルが付く。浮き出たサビの風合いを活かしそのままの状態をキープ。
FRONT FORK
フォークはオリジナルの純正品で、ヘッドライトはメーカー不明のトラクタータイプ。ハイウェイペグはワンオフ。
GAS TANK
タンクはオリジナルのハマータンク。底板が割れていたため修復し、エンブレムにはナイス! MC製を添付した。
SEAT
シートは愛着のあるヴィンテージのハイバックシートを装着。以前乗っていたショベルヘッドから移植したもの。
SISSY BAR
リアフェンダーの設置個所を見直し、シッシーバーは全体の雰囲気に合わせ単一で造作。テールライトはガイド製。
SIDE BAG
リアホイールは19インチに。バッグは香川県のワンズワーカー製で、シンプルかつ頑強な作りから好んで使用。
BUILDER’S VOICE
WHEELERS
住所 | 愛媛県宇和島市吉田町知永4-199-1 |
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電話 | 0895-24-1536 |
FAX | 0895-24-2528 |
SHOP | WHEELERSのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 17:00 |
定休日 | 木曜日、第1・3日曜日月曜日 |