
H-D FXDB Dyna Street Bob 2013
MOTO DIRECT
素通りを狙いすました
ストリートドラッガー
「道の駅とかに停めてて素通りされるバイクを作りたい」と、店主の寺川さんは静かに話し出す。創業2014年の『モトディレクト』は松山市にあるショップ。国産4発が6割を占めるといい、カワサキZ系を得意とする。
「走って楽しいバイクを作る店」と、ひとことで片付けてしまえば簡単ではあるが、そもそもどんなバイクでも「走って楽しい」ものである。
『モトディレクト』が手掛けるのは、冒頭にあるようなパッと見は派手ではないが、乗ってみればパフォーマンスの違いがわかるバイクだ。
スロットルを開ければアドレナリンが噴き出るようなパワーを発し、ブレーキレバーを握れば安全にスピードを殺し、フォークが適正値で沈み込んでマシンの挙動を抑え、体重移動とともに胸のすくような旋回を見せる。そのために基本整備と評するレベルを超えた、完成度の高い整備を行なっている。
ハーレーダビッドソンに走りのパフォーマンスを求めるのは酷なのか。答えはノーだ。同店が手がけたストリートドラッガースタイルのダイナに、その正解が詰め込まれている。しかし国産車を得意とするショップが、なぜハーレーダビッドソンでハイパフォーマンスカスタムをわざわざ作り上げたのだろうか。
「ハーレーならワンオフしなくてもカスタムパーツが色々揃っている。組み合わせだけで何通りものパターンができる。極端な話、フレームから組み立てたカスタムバイクだって作れるじゃないですか」と言う。見た目だけでなくパフォーマンスを上げるための選択肢の多さからハマっていった。
このダイナの特徴を訊ねると「やっぱり、曲がって止まれるハーレーっぽくないところ」と返ってきた。ハーレーにはハーレー独特な走りのフィーリングがあり、それをブラッシュアップするためにパフォーマンスの上がるパーツを色々組み合わせながらのセッティング。
性能を左右しないガスタンクは純正のまま。フロントフォークはストックだが、インナースプリングは日本人向けのバネレートに変更するなど、見えないところに重点を置く。
一方で外装の色味は極力抑え、お金が掛かっていないように仕上げた。目を惹きつけるようなゴージャスなパーツこそ入っていないが、隠れた実力を持つある種の完成形。
パーキングに停めていても走りに興味のない人には素通りされるだろうが、玄人は立ち止まって謎解きをしてしまうようなカスタム。ビルダーの哲学が伺えるストリートドラッガーだ。
(文/野上真一)
HARLEY-DAVIDSON FXDB Dyna Street Bob 2013 DETAIL WORK
FRONT FORK
純正フォークのインナーをチタンコートし、アウターチューブをパウダーコート。スプリングを入れ替えた。
WHEEL
ホイールは前後共にアクティブのグライドに変更するが、サイズは純正のままフロント19/リア17インチだ。
AIR FILTER
エアフィルターカバーとポイントカバーはBPパフォーマンスパーツで、フィルターはS&Sのステルスを装着。
SEAT COWL
トラッカースタイルのシートカウルに付属していたシートはスポンジの成形を行い、表皮の張り替えも敢行。
MUFFLER
マフラーはパフォーマンスの向上を見るために暫定的な設定。4本目となる現状はS&Sの2-1フルエキゾースト。
REAR SHOCK
リアショックはハイパープロを装着。ガスタンク、シートカウル共にチリピンがゴールドリーフを入れた。
BUILDER’S VOICE
MOTO DIRECT
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