TINY OLD MANのハーレー ショベルヘッドボバー エイジングチョッパー FX 1973年

H-D FX 1973
TINY OLD MAN

December 21st, 2024

フォーマットを崩さない
両面待ちのハードラー

京都府宇治の山奥で、ごくひっそりと活動するカスタム屋だ。立地的に知る人ぞ知るどころか、知っていてもなかなか足を運ばないようなその静かな地で、店主の鳥居さんは周りの環境とは似つかわない百味なカスタムを日々練磨している。

TINY OLD MANのハーレー ショベルヘッドボバー エイジングチョッパー FX 1973年

ボバーである。しかし、そもそものスタートラインからハンディキャップがあったことを追記しておきたい。オーナーが約5年眠らせていたチョッパーをベースに、ボバースタイルにしたいという依頼で始まったカスタムだが、蓋を開けてみればフレームに問題が潜んでいた。

「知らんかったんすけど、フレームが1インチパイプのチョッパーフレームだった。でもこれでやろうって言ってしもうたし(笑)。だからこれどうやって3.5ガロンタンクを載せようかってところからですね」

TINY OLD MANのハーレー ショベルヘッドボバー エイジングチョッパー FX 1973年

カスタム屋の店主にはイレギュラーのケースがつきまとう。最初からパーフェクトにお膳立てされた作業の方が珍しく、何かしらの問題をかかえた車両を前にして、そこから初めてオーナーの希望を形にしていく。

しかしそこが腕の見せどころでもあり、別の選択肢に安易に逃げることなく受け入れる姿勢こそが、できるカスタム屋の分かれ目だろう。

TINY OLD MANのハーレー ショベルヘッドボバー エイジングチョッパー FX 1973年

骨格が細ければボリューミーなボバースタイルを作るのはひと筋縄ではいかない。スッキリし過ぎたネック周りをうまく隠すように3.5ガロンタンクを設置するが、もちろん装着にあたっては元々無いマウントタブを製作し、タンクが干渉しないようフレームの『逃げ』のプレスも用意。

そしてようやく、全体の均衡をとったこれ以外ない箇所にピンポイントで装着されている。

TINY OLD MANのハーレー ショベルヘッドボバー エイジングチョッパー FX 1973年

半面、オイルタンクの右側にはイグニッション&スイッチを収納し、真鍮のマフラーエンドに気付いて尋ねてみれば「ふと思いついてやってみたんすよ」と、ひけらかさないのも氏の定型フォーマットだ。

更に、ヘッドライトのマウントや上下マフラーをつなぐリベットステーといった細工も、同店ならではの精緻な、溶接で造形化したパートである。

TINY OLD MANのハーレー ショベルヘッドボバー エイジングチョッパー FX 1973年

特有の諸芸はまだまだ終わらない。フロントに付けた英車BSA用のドラムブレーキや、今では希少なアエルマッキから頂戴した左右ステップ。’20年代のオールドカー用ルームランプを使ったテールレンズと、四方に張り巡らされた引き出しからの通(つう)なパーツチョイスがカスタムの『格』を増進。

このモーターカルチャーに狂恋した長年の知見が、どの強者の中にあっても存在感を放つ、勝利への手形である。

HARLEY-DAVIDSON FX 1973 DETAIL WORK

ショベルヘッドボバー(チョッパー) FX 1973年のハンドル

HANDLE

純正分割タイプを使いワンオフしたオフセットライザー。トップにブルーリフレクターを付けハンドルを装着。

ショベルヘッドボバー(チョッパー) FX 1973年のフロントブレーキ

FRONT BRAKE

前後19/16インチホイールのフロントには英車BSA用をセット。鳥居さん曰く、結構昔から使うパーツとのこと。

ショベルヘッドボバー(チョッパー) FX 1973年のガスタンク

GAS TANK

左からは青く、右から見た時には白い車体を考えエイジング塗装。ガスキャプに車用ラジエターキャップを使う。

ショベルヘッドボバー(チョッパー) FX 1973年のオイルタンク

OIL TANK

オイルタンク上側にイグニッション&スイッチを収納。上下マフラーをつなぐステーにリベットを一つずつ溶接。

ショベルヘッドボバー(チョッパー) FX 1973年のマフラー

MUFFLER

マフラーはディンプルパイプを用いたミッドハイ仕様。エンドには思い付きで真鍮エンドキャップを付帯した。

ショベルヘッドボバー(チョッパー) FX 1973年のシッシーバー

SISSY BAR

銃剣を配備したシッシーバー。テールレンズは1920年代のオールドカー用ルームランプでボディはワンオフ。

BUILDER’S VOICE

TINY OLD MAN

住所 京都府宇治市炭山滝ノ元14-2
電話 0774-84-6240
FAX 0774-84-6240
SHOP TINY OLD MANのショップ紹介
営業時間 12:00 ~ 20:00
定休日 水曜日