ハーレー パンヘッドロングフォークチョッパーのFL 1960

H-D FL 1960
TINY OLD MAN

May 1st, 2021

両翼にのせた
あふれる軌跡の残像

京都府宇治の山間部で、面前に出ることなく、自分の時間軸でほれ込んだ世界を探求している。経験豊かで腕もある家主の鳥居さんの愛車がこのロングフォークチョッパーで、氏のひととなりを語るよりもバイクを見た方が話は早いだろう。作り込まれたディテイルには、石橋を叩いて渡るかの慎重さと、枠にはまらない自由な発想。クリエイティブを一心に楽しむ人柄がシュワッと弾けている。

ハーレー パンヘッドロングフォークチョッパーのFL 1960

「元々映画のイージーライダーで興味を持ったので、ハーレーはロングフォークって決めてました。でもこの前にめっちゃ小さいカスタムにも乗ってたんだけど、やっぱりまた乗りたくて戻ってきましたね」

乗り易くて、自分の好きなパーツをぶち込んだチョッパーだと言う。ハンドル幅を人一倍広めに取ったのもそのためで、これまで集めてきたヴィンテージパーツを存分に投下した眺めも格別。増して、ディテイルの独自性と作り込みがただごとじゃない。

ハーレー パンヘッドロングフォークチョッパーのFL 1960

「まずこの縦張りのフロントホイール。これお客さんのバイクじゃ試せなかったです恐いし、ラジアル張りがね。あとこのホールクラフトのハブも古いやつって昔よう割れてたみたいやし、これも自分のだからですね」

ロングフォークのスーサイド化や、カムカバーの加工も他人の土俵で試せる代物ではなかった。カバーなんかは溶接して盛って削って成形したもので、結局歪(ひず)んでしまったものを自力で再生出来ずに内燃機屋へとトス。フライスで面研してもらい落ち着かせた箇所である。

ハーレー パンヘッドロングフォークチョッパーのFL 1960

そして、湧き出るアイデアの波状攻撃が何よりだ。電装系を全部隠したオイルタンクやリアのFORD製ホイールキャップを手始めに、ガスタンクはメッキをかけた後にフレームへ溶接して塗装。窪んだ部分はそこだけを切り出して一段沈ませた後に耳を付けて溶接されている。埋め込んだメーターにアエルマッキ製を用いる辺りも気の利いた演出だ。

ハーレー パンヘッドロングフォークチョッパーのFL 1960

更にスライド式とした鋳物のタンデムペグや、ダイス型シフトノブの中にもう一個入れたダイス。シッシーバーの頂点に付けた高速回転で文字が浮かぶオーナメントなど、聞き手をグイグイ惹きこむディテイルの数々がこのカスタムのキモとなっている。

ハーレー パンヘッドロングフォークチョッパーのFL 1960

チョッパー同様に目がないアメ車の要素も取り入れ、あくまで自分に順応させたとびっきりの集大成。見るほどに浮き立つ発見があるこのチョッパーを前に、言葉の端々に充足をのぞかせた氏が、どんな心持ちで作り上げたものなのかがありありと浮かんでくるようだ。

HARLEY-DAVIDSON FL 1960 DETAIL WORK

パンヘッドロングフォークチョッパーFL 1960のハンドル

HANDLE

広めのハンドルは乗りやすさに重点を置いてのもの。ヘッドライトはオールドカーのスポットライトを使用。

パンヘッドロングフォークチョッパーFL 1960のフロントフォーク

FRONT FORK

氏がハーレーに興味を持つ起点になったロングフォークを装着。ネック周りのモールディングにも造作をかける。

パンヘッドロングフォークチョッパーFL 1960のガスタンク

GAS TANK

エッグタンクを加工。両側を切り出して一段沈ませる格好で耳を付けて溶接する。メーターはアエルマッキ製。

パンヘッドロングフォークチョッパーFL 1960のエンジン

ENGINE

カムカバーは内燃機屋で面研される。エアカバーはアメ車用キャブの吹き返し防止パーツをリメイクしたもの。

パンヘッドロングフォークチョッパーFL 1960のタンデムペグ

TANDEM PEG

ブルードットがアクセントの鋳物製ペグは通常奥に押し込んで収納。オイルタンクの中には電装系が全て収まる。

パンヘッドロングフォークチョッパーFL 1960のリアエンド

REAR END

左右出しのマフラー中央にはTOYOTA製ルームランプを。右側にはポンティアックのマーカーランプを設置。

BUILDER’S VOICE

TINY OLD MAN

住所 京都府宇治市炭山滝ノ元14-2
電話 0774-84-6240
FAX 0774-84-6240
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