H-D S&S KNUCKLEHEAD
INDIAN ORANGE MOTORCYCLE
突き抜けた先の
中毒性スクランブル
九州名うての『SPEED ADDICT(スピード中毒者)』。このフレーズを標ぼうするショップは数あれど、国内レースだけでは飽き足らず、実際にスピードアタックの聖地『ボンネビル』に足を運び、最高速チャレンジに挑むほどの情熱を見せてきたフリークはごくひと握りである。
店主小田さんのちょっとした所作からは、そうした本物だけが持つ不言実行な威容がのぞく。
約10年乗ってきた愛車のスタイルを変えた一台だ。これまではSPEED ADDICTシリーズの第一号機としてドラッグレーサー仕様で乗っていたが、昨年フォルムを一新。元々好きだったチョッパースタイルへと作り直された。
「あれは速くはなったんやけど壊れちゃうよね(笑)。だけん結構このエンジン限界来ちゃったなあっていうのでチョッパーに作り直して、パフォーマンスを求める分は別にショベルで作ってやっていこうって」
それと、今年でちょうど50歳を迎えることもあり50歳記念のチョッパーだと、目尻を下げる。元々この手のオールドスクールチョッパーに傾倒する氏にとってはこのカタチが一番しっくり来るものだが、単に昔の焼き増しではなく、安全面や耐久性、機能面のアップデートは必須。そこは決して譲れない生命線でもある。
「この部分を頑張りました」というカスタムではなく、頭の中にずっとあったものを形にしただけと話すそれは唯一、走ってる姿を見た人が「カッコいいな」と思える立ち姿を求めたものだ。そのボディシェイプの構築には変則的手法はなく、店の中に転がっていた物でまとめたそうだがそこはインディアンオレンジ、返答を額面通りに受けとるわけにはいかない。
在り物のパーツをそつなくセットする敏腕は安定の光景だが、長めのハンドシフトロッドが目を引く。これはカスタムカルチャーの巨星エドロスの作品からインスパイアされたもので、歌舞いた塗装もロバートウィリアムスやヴォンダッチといった名匠から影響を受けたものだ。
作り物にも触れておきたい箇所がある。2分割したシッシーバーがそれで、フェンダーを絶妙な位置に付けようとするとそのタイヤ間にブレースが入らない。
なのでシッシーバー2本で上から吊っているのだが、この形状にするとメッキ屋さんが仕上げのときに上手く磨き込めないはず。だったら左右に分けたらということで人知れず細工が仕込まれた脈所である。
氏は多分誰も分からんと思うと、屈託なく笑う。それは、たいがいのことを知ってる人の生一本な笑みだ。
HARLEY-DAVIDSON S&S KNUCKLEHEAD DETAIL WORK
HANDLE
現代仕様にアップデートしたオールドスクールチョッパーが好きと話す氏は、ハンドルにFORK製を選択する。
FRONT FORK
フォークは’72年までの33.4φFXタイプで、ブレーキは純正ハンバーガードラム。ヘッドライトはベイツ製を装着。
GAS TANK
ハマータンクをセット。タンク左脇のシフト位置や塗装はカスタムカルチャーの御三家より影響を受けたもの。
OPEN PRIMARY
プライマリーはBDL製でワンオフのスロッテッドプレートを付帯。後方のフィルターがメカニカルな雰囲気を醸す。
CHAIN COVER
目立たない箇所にこそ作り手の身構えが宿る。カバーはただの平板ではなく縁取りした立体的なデザインで成形。
SISSY BAR
フェンダーブレースが入らないためフェンダーをシッシーバーから2本で吊る。上方のボルトを外して2分割式となる。
BUILDER’S VOICE
INDIAN ORANGE MOTORCYCLE
住所 | 福岡県北九州市若松区二島4-1-43 |
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電話 | 093-701-0557 |
FAX | 093-791-2008 |
SHOP | INDIAN ORANGE MOTORCYCLEのショップ紹介 |
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定休日 | 火曜日(第2火曜除く)、第2日曜・月曜日 |