
H-D KNUCKLEHEAD S&S KN93
VIDA MOTORCYCLE
先達へ最上の敬意を込めた
原点回帰のCFLチョッパー
現在40~50代のカスタムフリークなら誰しも、2000年代前後にシーンを沸かせたWest Coast Choppers(WCC)のマシンにリアルタイムで衝撃を受けた記憶があるだろう。
福岡にショップを構える『Vida』の大久保さんもまさにその世代だ。当時の衝動をあえて今の時代にカタチにしようと、温めていたプロジェクトを実現したのがこのナックルである。
当時WCCは、同店が掲げていた“Choppers For Life”のフレーズの頭文字からCFLというコンプリートキットを用意していた。そのCFLフレームこそ、今回Vidaが造った新作のコアとなる部分だ。
「当時実際にWCCに行って本物を見て、『これが日本で走ってたらどれだけカッコいいだろう』ってずっと思ってて。あれから20年経って技術も知識も得た今、原点を思い出す意味でも、あえて当時のWCCを自分の色でアレンジしてみたかった」と、大久保さんは語る。
手に入れたCFLフレームは、リスペクトの念から大部分をストックのまま使うが、メインチューブは2インチほど短く、かつネックをやや立て、そしてダウンチューブはエンジンの造形を見せるためシングルにリメイク。オリジナルとの差異をアピールした。
フォークは8インチオーバー、前後ホイールはフロント21、リア18インチと、骨太な本家のスタイルに対して細身で軽快なスタイリングに仕立てる。タンクもナロードしており、またマフラーの軌道も極力内側に寄せるなど、外装類もそのナローさを引き立てた。
一方、エンジンはS&SのKN93、ミッションはベイカー6速をチョイス。軽量なアルミホイールを履き、フロントブレーキにはブレンボを採用。街乗りもツーリングもタフにこなす構成は同店の十八番と呼べるパートだ。
そして、アーティスティックな要素も紹介せねばならない。
車体を彩るミューラルには誰しもが眼を奪われる。ソウルペイント、そしてエアブラシで描かれた世界観は圧巻だ。
エンジン周りに施されたエングレービングもまた、ミューラルと同じくローライダーの技法のひとつ。陰と陽を表現したというその彫金は、ミューラルと相まってマシンにローライダーのエッセンスを加え、ワン&オンリーなマシンをさらに無二の存在へと高めている。
これだけ見所が多いにも関わらず各々が喧嘩しないバランス感は、数多の佳作を手掛けてきた大久保さんの培ってきたセンスに他ならない。
「(WCCヘの)リスペクトを込めつつ、自分の色も出せて、非常に満足している車両」。このチョッパーは、氏のその言葉に尽きる。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON KNUCKLEHEAD S&S KN93 DETAIL WORK
HANDLE
Vidaのオリジナルライザーにセレクテッド製オウルバー。グリップはODIでインナースロットル化されている。
WHEEL
スムースなボトムのHHI製8インチオーバーのフォークにRYDのホイール&ローター、ブレーキはブレンボ製。
MURAL PAINT
ラティーノの薫り漂うミューラルはVidaの腹心、420 Kustomsの仕事。タンクのメタルワークにも注目したい。
ENGRAVING
エングレービングはSilversmith FINの作。ミューラルを実際に見てもらい、打ち合わせには数時間を要した。
SEAT
大分のGuiltyが制作したシート。サイドはバスケット、トップはダイヤモンド。後部にはVidaの真鍮プレート。
REAR END
ラウンドテールフレームにWWCのアイコンを。フェンダーはタイヤに沿うよう造形。縁に丸棒を入れて強度を増す。
BUILDER’S VOICE
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