H-D XLH883 2000
smile chop garage
1cm単位で吟味する
違和感のないオンビート
極力シンプルにまとめた全体のバランス感覚で、『ポッ』と華を咲かすタイプの作り手である。派手さがない分ファーストインパクトこそ控え目だが、ある一定の知見を持ったファンならふと足を止めて見入ってしまう。そんなチョッパー製作が精髄(せいずい)だ。
「まあコンパクトで乗りやすいチョッパー。今まで自分が作った中では一番小さく作ろうかなと。派手ではなく、手間もそんなにかけない。最小限の手間でどこまで魅せれるかっていうのがテーマですかね」
最初に、店主の吉野さんがまず目を付けたのが前後のホイールサイズである。ノーマル径の前後19/16インチから18/15インチへと換装。小径にすることでのホイールベースの短縮と、車高の低減という効果をそこで現わしている。
が、ホイールを変更するにあたっての各所の帳尻合わせも楽ではない。ブレーキキャリパーとキャリパーステー、エアバルブがホイールに干渉してしまうためそこを削り落とす必要があった。もちろん社外品のキャリパーに変えればそこまでの労力はいらないが、敢えて純正にこだわるのが流儀である。
「まあ社外使えば早いですけど、そこはかたくなに純正を使いたかったんで(笑)。例えばこういうキャリパーとかに社外パーツが付いてると僕の感覚では変に見えるんですよね。別に純正を信頼してるとかじゃなくて見た目に違和感が出るから使いたくないなっていう」
ガスタンクへの熱量も半端ではなく煮立っている。ただのピーナツタンクでないのは明らかだが、この造形にととのえるにあたってはトップと両サイドのアール部分を改良。市販品はアールが丸過ぎて不格好という認識から、そこを絞ってアールを控えめにして作製。極端に言ったら『カクッ』と、やんわりではなく急に曲がる感じで作っているそうだ。
「ただこれを見て市販品のピーナツと形違って『かっこええやんけ』って思う人がおるかおらへんかですよね(笑)。やっぱり昔修業時代に見た形がめっちゃカッコ良くて、それが忘れられへんっちゅうかね、あのカッコいいアールが。その感覚を元に作っとるすね」
取材時に印象的なフレーズがあった。それは、「カスタムは違和感を減らしていく作業やと思っとる」というもの。違和感をそぎ落としていくことで、そこに普遍的な端整を創出してゆく。そしてそれらは理詰めではなく、感覚的に産み落とされるものだからこそ、耳元で漏れる吐息のような甘やかさがある。
HARLEY-DAVIDSON XLH883 2000 DETAIL WORK
HANDLE
同店のカスタムマナーである『違和感のない作り』を象徴するハンドル周り。ほど良いプルバックタイプを装着。
FRONT FORK
39φ用トリプルツリーに41φフォークを挿入径を広げてセット。フロント周りのむっちりなボリューム感を演出。
GAS TANK
こだわる箇所はどこも的を射ている。市販品をベースにトップと両サイドのアールを絞りソリッドに再製する。
SEAT
シートにハードライド製を選択。リアフェンダーはアイアンスポーツ用を加工し、ストラットは単一物を配備。
MUFFLER
リジッドバーを先に完成させその邪魔をしないように取り回し。2イン1デザインでシンプルにまとめられた。
RIGID BAR
「ちょっとデザインを遊ぼうか」ということで稲妻型にワンオフ。2本を溶接でつなぎ表面にピンラインを入れる。
BUILDER’S VOICE
smile chop garage
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