H-D FX 1979
JAM’Z GARAGE
ひと言の深みが違う
家元的メタモルフォーゼ
ここ10年以上に渡って、米国で開催される『キャノンボール』への参戦をライフワークとしてきた、生粋のオートバイフリークだ。博物館に展示されるような歴史的なヴィンテージバイクを駆って、東海岸から西海岸までを14、5日かけて走破するという壮大なこのイベントに魅了されてきたのが、店主の新美(にいみ)さんである。そのあまりにも途方もないスケール感は、参加してきた本人の口以外から語られるのははばかられるほどに超然なものだ。
とはいえ、その雄渾(ゆうこん)な足跡とは裏腹に、一切の高慢な態度がないのが氏の美点で、たおやかで落ち着いた雰囲気は本人を取り巻く作業場の隅々にまで波及している。そして、意外だったのは先日のジョインツカスタムバイクショーへ出展していたことで、他のショーバイクとは明らかにベクトルを異にした往年の『ゼロスタイル』を思わすフォルムが異彩を放っていた。
「えっ、ゼロスタイルへの原点回帰ですか(笑)? うーん、実は少しそこから離れたかった部分もあったんですけど、ここに来てやりたくなったというか。まああとはお客さんの好みが一致したんでこういう感じにはなりましたけど、自分らしさは出せたかなと思います」
かつて国内カスタムシーンで一世を風靡したゼロエンジニアリングの主要メンバーでもあった新美さんが、久しぶりに向き合ったゼロスタイルの一台。前後16インチホイールにVLスプリンガーからなる黄金のスタイルには今回、フレームリアエンドの左右にアールを付けたパネルを設置。左側にはその上にツールバッグを設置し、右側はその裏にバッテリーを収納。この箇所は新しい試みとして取り入れたもので、個人的に気に入ってるパートだとほほを緩める。
「ちょっとギュッと詰まった感じというのは出したかったですね。だからホイールベースを若干5mmぐらい詰めてるんです。まあほとんど分からないですけど、こういう細かい部分の積み重ねで全体の雰囲気って変わってくると思うので」
でも、見た目のインパクトを狙ってやり過ぎると今度は乗った時に不具合が出てしまう。直進安定性などに関わる部分だから、いざ乗った時にたいして走れないバイクにだけは絶対にしたくなかったと言う。そしておそらく、全国を見渡しても、こと『走り』に関してこれほど説得力を持つ人は限られている。決して多くを語ることはないけど、そのバックグラウンドを知れば、このバイクの実体が見えてくる。
HARLEY-DAVIDSON FX 1979 DETAIL WORK
HANDLE
ごくタイトに絞りを利かせたミディアムエイプバー。シンプルな造形ながら経験値がものをいうセクション。
GAS TANK
汎用タンクのセンターを詰めてナロードし、フレームと同色に塗装。前側のアルミパネルがアクセントになる。
FOOT CONTROL
フットコントロール周りはワンオフで製作。ブラックを基調とした造形でまとめ、ステップエンドはブラス製。
PANEL
右側のパネル裏にバッテリーを、左側上にツールバッグを設置。和紙に書く書道をイメージした紋様となる。
FENDER STAY
フェンダーステーやチェーンガードからハンドメイド固有の温もりを感じさせる。マイナスネジの統一も小粋だ。
REAR FENDER
同店の『カラー』が出た部位。アルミ製ランプにプレートを接合。ステーやネジの質感を合わせ一体感を出す。
BUILDER’S VOICE
JAM’Z GARAGE
住所 | 愛知県豊川市御油町米野21-1 |
---|---|
電話 | 0533-56-2688 |
FAX | 0533-56-2688 |
SHOP | JAM’Z GARAGEのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 月曜日 |