H-D XLCH1000 1977
BLUES MOBILE
現地の僻地で手にした
これから先のメモワール
ハーレーから国産車までにあんばいよく付き添う北海道江別市のカスタム屋である。しかし、店主の上手(かみて)さんがより前のめりになって自身の鼓動を早めてしまう車種がこのアイアンショベルだ。
純粋に「好き」と言う本能的な面と、道内に適正に対処できる専門ショップがないこともあって、ここ最近は特にアイアンショベルに触れる時間が増しているようだ。
「これはお客さんの作りたかったイメージを形にしたものです。セブンティーズの往年のチョッパーという感じでしょうかね。それこそ一番最初のスタートがこのフロントフォークだったんです」
どこどこにこのパーツを付けたいと、明確な好みを持つオーナーの要望を汲み取って仕上げたチョッパーだそうだが、最大の勘所(かんどころ)はかの名品、アレンネス製のフロントフォークだ。偶然インスタグラムで見付けた掘り出し物をわざわざアメリカにまで行って買ってきた代物である。
「現地まで飛行機で取りに行って、なんか凄いヤバそうな所だったんですけど招き入れてくれてみたいな(笑)。あとはまあこのフォークありきでカスタムするというところで、別で用意していたバラバラのエンジンとかも組み直していきました」
抜かりなくレストアしたエンジンには、インパクトのある40φのデロルトキャブを配備。更にモーリスマグネトーをセットアップすることで、レーシーかつマッスルな装いに拍車がかかる。一方、外装にも目を引くポイントが散在している。
ガスタンクやリアフェンダーは汎用品を装着するが、リアショックはナイス! MC製をベースにスプリングとインナーを二次使用するのみで残りはすべて長さなどを合わせて再加工。また、リアホイールにも同様の手間ひまがかけられた。
リアには、既にどこかでワンオフされたクレーガータイプを用い、そのハブが合うように再製。一度アイアンのホイールを全部バラシて寸法を取り直し、同じ構造でドラムが付くよう作り直した部位である。そして、それら加工物とは別に、エンジンやプライマリーカバーに入る箸休め的なヘタウマというより落書きに近い彫金も気の利いたパートだ。
アレンネスのフォークありきで口火を切った一台のチョッパー私記。インスタグラムを通じた情報と軽やかなフットワークの両輪が噛み合わさって生まれた軌跡は、デジタルの小宇宙とアナログの突破力をもってクイックに実現した、有益なメモワールである。
HARLEY-DAVIDSON XLCH1000 1977 DETAIL WORK
FRONT FORK
たまたまインスタで見付けたアレンネス製スプリンガーフォークを購入。現地まで引き取りに行った一品。
FRONT WHEEL
ボラーニのアルミHリムと、ディスクが付けられるミニハブをセット。キャリパーとマスターはハースト製。
ENGINE
バスケット状態から組み直したエンジンに40φデロルトキャブとモーリスマグを装着し迫力の心臓部を披露。
PRIMARY COVER
プライマリーやエンジン周りには落書きに似たチープな彫金が入る。が、これがまたひとつの味になっている。
MUFFLER
マフラーにはスラッシュカットを選択。リアショックはナイス! MC製をベースに長さなどを合わせてリメイク。
REAR WHEEL
ホイールにはクレーガータイプ採用。ドラムが付くようにハブを全て単一で製作。相当の労力が費やされた。
BUILDER’S VOICE
BLUES MOBILE
住所 | 北海道江別市文京台66-12 |
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電話 | 011-788-8360 |
FAX | 011-788-8361 |
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