ハーレー XLCHショベル(アイアン)スポーツのカスタム  1972年

H-D XLCH 1972
A.A.R.

July 6th, 2021

落とさずカチ上げる
積み重ねた正味の心得

石川県金沢市の『A.A.R.(エーエーアール)』によるショベルスポーツである。元々、WLモデルを中心にパーツ供給を行ってきた独自性の強いショップなだけに、カスタムに関しても流行りすたりといった巷(ちまた)の風潮に迎合しない、店主の感性のみで構築したスタイルに取りまとめられている。

ハーレー XLCHショベル(アイアン)スポーツのカスタム  1972年

ベースとなったのは’72年式XLCH。ストックのフォルムを殺さないライトカスタムだが、ピンポイントで手を入れた各パートがボディブローのように効き、綺麗に作り込まれたカスタムのファンよりは、この種のヴィンテージに片足や両足を突っ込んだスキモノたちの琴線をさり気に刺激する。

ハーレー XLCHショベル(アイアン)スポーツのカスタム  1972年

そのピンポイントの最たるはフロントフォーク。とりわけて変哲のない4インチオーバーのフォークジョイントとスタビライザーの組合せだが、妙に気がそそられるのは下手にカタチを整えない無骨な雰囲気によるものだろう。また、わずかにカチ上がったフロントエンドとリアエンドの絶妙な均衡もそう簡単に取れるものではない。

ハーレー XLCHショベル(アイアン)スポーツのカスタム  1972年

「結局このオーナーも足つきが悪いんで車高を下げたかったんですけど、あんまり下げたらカッコ良くないんですよね。こうタイヤにフェンダーを被せていくとバランスが悪いんです」

一般的に、盲目的に車高を下げるのが良しとされるフシがあるが、車両によってベストな位置はさまざま。そこを多くの年代物に触れてきた宮崎さんは決しておろそかにはしない。むしろ各部のディテイルの手配より重きを置くのが常だ。

ハーレー XLCHショベル(アイアン)スポーツのカスタム  1972年

わずかに持ち上がったフロントエンドや肉厚のダブルシート、ほど良い高さに留められたシッシーバーなど、横から見た『絵』はさながらセブンティーズチョッパーのそれである。そしてこれを具象化するスパイスの、要所に配したヴィンテージパーツが捨て置けない。

言ってしまえば大枠はストックパーツ。しかしそこにヴィンテージのシートや、箱入りだったシューペリア製シッシーバーなどが投下されて化学反応を起こし、単なるライトカスタムではない妙味を放出する。

ハーレー XLCHショベル(アイアン)スポーツのカスタム  1972年

「これは自分の生まれ年が欲しいというオーナーの希望を聞いたもので、前がカチ上がったスタイルが好みだったんでそういう風に作っただけです。まあたいしたことしてないですけどね(笑)」

やり過ぎてない感じ。最近はこういうスタイルが好きだと氏は変わらず控えめに話すが、眼前の車両には、そんな作り手に反してどしりとした一定の圧がある。

HARLEY-DAVIDSON XLCH 1972 DETAIL WORK

XLCHショベル(アイアン)スポーツ 1972年のハンドル

HANDLE

ストックのハンドル周り。カスタム車にはない野暮ったくも目を引くパート。元のままの素性が活かされる。

XLCHショベル(アイアン)スポーツ 1972年のフロントフォーク

FRONT FORK

フォークジョイントを使い4インチオーバーとされたフロント。よじれ防止に加工したスタビライザーを装着。

XLCHショベル(アイアン)スポーツ 1972年のガスタンク

GAS TANK

ガスタンクもノーマルをセット。この’70年代のトラディショナルなデザインがシンプルな全体像とマッチする。

XLCHショベル(アイアン)スポーツ 1972年のエンジン

ENGINE

エンジンにも手を加えずストック状態を維持。ショベルスポーツ特有の弾けるような快活なフィーリングを生む。

XLCHショベル(アイアン)スポーツ 1972年のシート

SEAT

ヴィンテージのボリューミーなダブルシート。シッシーバー&ステーは箱入りだったというシューペリア製。

XLCHショベル(アイアン)スポーツ 1972年のマフラー

MUFFLER

マフラーに社外のテーパードを選択。歯切れよく、音量を抑えた小気味の良いエキゾーストノートを奏でる。

BUILDER’S VOICE

A.A.R.

住所 石川県金沢市専光寺ワ59-1
電話 076-267-8511
FAX 076-267-8522
SHOP A.A.R.のショップ紹介
営業時間 11:00 ~ 20:00
定休日 土曜日