YAMAHA SR400 1993
ECCENTRIC MOTORCYCLE
さまよえる数列を追う
スフィンクスのなぞ解き
艶(あで)やかでトリッキー。店主の大西さんが描くカスタムは、多くのショーバイクが立ち並ぶ場面においてもポッと発光するような存在感がある。奇抜なわけでもシンプルなわけでもない、緻密な作りから醸し出される仕立ての良さが異彩を放つゆえんだろう。
SR400といえば同店の十八番である。今回はオーダー内容の74スプリンガーフォークとソフテイルフレーム、マスタングタンク、ソロシート、シッシーバーなどを押さえた上で創作が進められた。
「SRに74スプリンガーはちょっと好きじゃなかったんでそこはガーターフォークにしてます。あと作っていた時期的にホットロッドカスタムショーに出せるタイミングと重なったので、せっかくならとどんどんイメージが膨らんでいった感じですね」
そこで、当初やる予定ではなかったエンジンのレイアウト変更にも着手。元々前方へ傾いているエンジン配置を、マウント部分をすべて作り直して直立に修正。全体のシルエットを狙い通りのものへと改善している。また、フレームワークも注視したい箇所だ。
ちょうどガスタンク後方のメインチューブから、真下へ縦に1本のフレームを入れている。ここは本来であれば左右2本のフレームが走っているのだが、それを排除して1本に再製。その理由はこんなところからである。
「ノーマルの両サイドのフレームを無くすことでキャブレターをこの角度から出せるんです。SRはキャブを換えてもどうしてもフレームの中に隠れちゃうんで目立ってくれない。だから今回はこういう風にキャブを見せたかったんですよね」
この、パーツ単体をどう見せるかでフレームまで加工するという大掛かりな作業を、顔色ひとつ変えずにやってのけてしまうのが実に大西さんらしい。なのでワンオフのガーターフォークやホイールハブキャップ、シート下にショックを内蔵したソフテイルフレーム化といった技巧を要したセクションもことさら強調されることはない。
「それほど奇抜な作りはしてないですよね。あと今まであんまりブラックの車両って作ったことがなかったんですけど、単にそれだけだとつまらない。だから要所で真鍮パーツを使ったりリーフを入れたりして差し色にゴールドを使ってます」
簡素にまとめない様式美。氏の描くカスタムは、常に限りない乱反射を繰り返しながら、永久に得られないスフィンクスのなぞ解きを求めているかのようである。
YAMAHA SR400 1993 DETAIL WORK
HANDLE
既成の絞りパイプを使って加工したライザーバー。こうしたデザイン性を持つ部位が同店固有のセクション。
FRONT FORK
元は74スプリンガーのオーダーをガーターフォークに変更。ワンオフで製作された4インチオーバーとなる。
ENGINE
エンジンマウントを作り直し直立に。中央から縦にフレームを配備することでキャブの角度を変え主張させた。
REAR END
リア周りは十八番となるモノサス化でソフテイルフレーム仕様に。リムやハブなど要所にゴールドを添える。
REAR FENDER
細かな作り込みが同店のテイスト。リブフェンダーにはレッドドットレンズが埋め込まれアクセントに奏功。
SISSY BAR
造形のアイデアはほとんどやりながら現場でひらめくそうだ。デザインは手曲げにより形作られている。
BUILDER’S VOICE
ECCENTRIC MOTORCYCLE
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