H-D FLH 1980
REDNECK KUSTOMS
6年越しに浴びる
あふれた虹色のシャワー
王者の風格を漂わせた堂々たる体躯から、ハーレーダビッドソンを象徴するモデルのひとつに脈々と名を連ねるフルドレスの『FLHショベルヘッド』。当時ハーレの威信をかけて開発された世界最大の排気量とトルクを持つエンジンに始まり、ドレッシーなサドルバッグやキャリアなど豪奢なパーツを装備した押し出しの強いフォルムには、ありし日の華やかで強壮なアメリカの姿がそのまま体現されていた。
こちらの1980年式FLHはその豊かな情景を想起させる正統なカタチから、茨城県の『レッドネックカスタムズ』の手でリメイクされたものだ。
「もともとオーナーがオリジナル風のスタイルで乗ってたんです。それでFLHが好きで買ったからカスタムもFLHらしくして欲しいということだったんで、まあ俺なりに考えて作ってみました」
そこで作り手の山内さんはFLH特有のサイズ感に目を付けた。大きくではなく小さく。あえて全体をコンパクトに修正した『ボバースタイル』を指針に据えて、タンクやフェンダーといった主要な外装から着手してゆく。
まず汎用のマスタングタンクをベースに、前部をわずかに広げて後部を収縮。全体的にボリュームダウンさせた造形でリメイクされる。また純正タンクのマウント部分を残す必要性からタンク裏のトンネル部分も配慮された箇所だ。
「オーナーがゆくゆくノーマルタンクにも戻せるようにしたいということだったので純正のタンクマウントは全部残してます。だからトンネルは逃がして作ってますね」
次にリアフェンダーは一瞥(いちべつ)しただけでは分かりにくいが、やはりこちらもワンオフである。いったん全てのピースをばらばらにしてサイズを調整し直し、微妙にひと回りスケールダウンさせた物だ。この辺のともすれば埋もれがちな細かい処理は、結果的にそうすることで最終形に大きな差が付くのを心得た巧者ならではの業だろう。
「タンクとフェンダーは自分のなかでは結構気に入ってますかね、普通で(笑)。でも普通だけど、例えば同じような車両が横に並んだときは絶対にサイズ感は違うはずです。そういう風に作ってますから」
聞けば、事故後6年越しに陽の目を見たバイクだと言う。長い沈黙から目覚めて全身に浴びる虹色のシャワー。その光と風に包まれた場所で、ブルーグレーに輝く車体はみずみずしく色づき、新たな芽が吹きかけているようだ。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1980 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルは汎用品を選択。方向性に定めた『ボバースタイル』の意向に沿うシンプルな形状の物をセットする。
FRONT FORK
ノーマルフォークは2インチローダウン。ライトはベイツスタイルで、前後共にホワイトリボンタイヤを履く。
GAS TANK
汎用マスタングタンクを使いワンメイク。前部をわずかに大きく、後部を小さく成形してブルーグレーで塗装。
ENGINE
ストックエンジンにSUキャブを装着。ロッカーボルトやポイントカバーなどの真鍮部分がアクセントになる。
OIL TANK
作ってみたかったと話すオイルタンク。極力主張を抑えしかるべき箇所に粛々と収まる。サスは汎用の11インチ。
REAR FENDER
レプリカのパンヘッド用をリメイク。一度全てばらし成形してから接合。テールライトはクロッカータイプ。
BUILDER’S VOICE
REDNECK KUSTOMS
住所 | 茨城県石岡市茨城1-4-35-1F-5 |
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電話 | 0299-56-6566 |
FAX | 0299-56-6567 |
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