HARLEY-DAVIDSON XLCH 1974
NAVY’S CUSTOM CYCLE
ショーバイクが迎える
ダートコースでの初夜
「最初はこれ、エンジンもフレームも全部バラバラの状態でお客さんが持ち込んだものなんです。で、お客さんがトレイシー・ボディ(※’70年代のカスタムパーツ)の外装を持ってるってことで、それも付けて欲しいって。そこからですね」
北関東の本格派、ネイビーズの紺野さんに舞い込んだ依頼はなかなかの難問。が、ハードルが上がるほどに血がたぎるのは世のカスタムビルダーの常だろう。
まずは外装である。持ち込みのトレイシー・ボディはアイアンスポーツ用ではなく英国車のノートン用。未使用のデッドストック状態ではあったものの、一応リークテストをしてみればまさかのガソリン漏れ。そのためFRPボディの補修と、アイアンの骨格に合わせたモディファイが同時に進められた。
「うちのペインターさんがFRPの補修もやるんでいろいろ相談して直しました。あとは初めて組んだサンダーヘッドのエンジンですかね。元々動いてたらしくて、最初それを鵜呑みにして仮組みしたんですけど(笑)」
試しにまずは手でクランキングしたところ、いきなりピストンとバルブが当たって「なんだこれ!?」と絶句したと言う。結果全然モノが合ってないことが判明して、XRのピストンだったらいけるかもしれないとなり、信頼を寄せる東京のテクニカルショップ『サンダンス』へと足を向けた。
「代表の柴崎さんに出してもらったピストンを使ったところ問題なかった。セッティング出すのもそんなに大変じゃなかったですし。すごい高回転型のエンジンになったと思いますよ」
そして、ペイントがまたドラマチック。オーナーたっての希望だったデザインは、エンジンロッカーに刻まれたサンダーヘッドのアイコン、『雷』が着地点となっている。まず、ボディの上面で宇宙を表現し、そのまま下(ボディ両側)へ降りると大気圏が広がり、その下の雲から稲妻が走るという構成である。聞けば、ペイントは3回もの修正を経て仕上げた大作だそうだ。
はたして、ビッカビカのショーバイクとしてホットロッドカスタムショーに出展するも、なんとその翌日には埼玉県川越にあるオフロードコースを疾走。たまたまショー会場で知人に誘われたと言う氏は、まだ指紋すら付いてないおろしたてをいきなりダートコースに放り込んでしまった。
「だってなんか面白そうだったから(笑)」。しかしそんな『ノリ』を良しとするオーナーとの共作だからこそ、このカスタムには飾りじゃない本質的なタップが響いている。
HARLEY-DAVIDSON XLCH 1974 DETAIL WORK
FRONT FORK
純正フォークに、ダートレーサーのゼッケンプレートをイメージしたナセル周り。ライトにデュオテールを使用。
ENGINE
当時のレーシングエンジン『サンダーヘッド』にサンダンス製ピストンを採用。高回転型のライドフィールとなる。
TRACY BODY
ノートン用を加工してセット。FRP補修とペイントはノリペインティングが担当。一大スペクタクルが広がる。
REAR END
ショック位置に合わせてFRPボディを成形。塗装は何度も打ち合わせを経てオーナーの世界観が彩られた。
FOOT CONTROL
フットコントロールのリンケージやマウントプレート、支点のブラスパーツに同店の丁寧な加工処理が覗く。
REAR END
フロント同様にアクロン製Hリムを使用。マフラーは持ち込みのテールエンドに合わせてエキパイを製作。
BUILDER’S VOICE
NAVY’S CUSTOM CYCLE
住所 | 茨城県北茨城市大津町北町3301-10 |
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電話 | 0293-30-5350 |
FAX | 0293-30-5350 |
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