ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタム

H-D EVOLUTION DYNA
KEN’S FACTORY

November 20th, 2018

潮目で舵を取る
掛け算の攻勢

ため息が漏れる。なんて言うと安っぽいが、実際に漏れないまでも、口を堅く閉じてないとそうなってしまう。ケンズファクトリーのフルスクラッチは常に、そうしたインパクトがある。

ストックフレームをベースにしたダイナモデルが素材だ。元々はワイドタイヤが装着されていた車両を乗りやすいように細く戻して、あとはお任せで受けた一台だと言う。

ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタム

「スリムで取り回しがしやすい。なおかつ、ウチっぽいテイストが入ったバイクを作って欲しいということだった。あとは塗装をセンタールーツに依頼したいと、単純にそれだけ。カラーリングは茶色っぽい色が好きだというのでその意見を尊重してる」

必要最小限のオーダーを最大化させたマシンの見せ場は多岐に渡る。しかし今回は特に、シート周りに技巧を凝らした作りが潜伏。業界のトップランナーとして、今回も新たな試みを取り入れたカスタムを展開している。

ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタム

「ダイナっぽく見えない仕上げのリア周りと、いつものガーターフォーク。あとはシートのスプリングの換わりに防振ダンパーを組み込んでる。まあリアショックがあるからリジッドほどガツンと来なくても、一発クッションがあるのとないのとではだいぶ違うから」

サドルシート下の左右2つの支持部分内には、精密機械などの揺れ防止に使うダンパーを内蔵。高さ3cmほどのそれを付けてみたところ具合が良かったために正式採用した、同店固有の着眼点からなるセクションである。

ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタム

地面と水平に設置したモノサスも相当に人目を引くが、代表の永井さんはそこには触れず、あくまで初もののパートを重点的に解説。大御所でありながら現状に甘んじることないこうした姿勢に、同業プロショップまでもが自然と羨望の眼差しを注ぐ。

ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタム

「フォークもいつものウチのオリジナル。地面からネックの高さだったり角度とかを図面に入れ込んで適性トレールになるように計算してから。その後でどういう風に長さを持っていくかを決めていく。これはほぼストック長だね」

ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタム

ラバーマウントのガスタンクとリアフェンダーはもちろん鉄板からのワンメイク。そしてフレームと共に仕上げの塗装は、センタールーツの中根さんが担当。普段からアウンの呼吸で仕事を運ぶ両者の化学反応は今回も例外なく、足し算ではない掛け算の相乗効果を産んでいる。

H-D EVOLUTION DYNA DETAIL WORK

ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタムのハンドル

HANDLE

ハンドルやライザー、フォークトップなどは汎用旋盤とフライスを駆使した箇所。クオリティは折り紙付きだ。

ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタムのガスタンク

GAS TANK

流れるようなスムースなシェイプは同店のお家芸。前後のタンクマウント部分などの作り込みにも隙がない。

ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタムのエンジン

ENGINE

ブラックのドレスアップパーツはオリジナル商品。内部はリビルド後にハイカムを組んでライトチューン。

ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタムのオープンプライマリー

OPEN PRIMARY

ロングビーチパーツサプライの主力商品NH POWER製プライマリーにワンオフのコントロールをセット。

ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタムのシート下

SEAT UNDER

シート下の支持部に防振ダンパーを内蔵。サスはモノサス化で水平に設置。高次なディテイルのオンパレードだ。

ハーレー ケンズファクトリーのフルスクラッチカスタムのスイングアーム

SWING ARM

ダイナに見えないようにとスチールで製作したスイングアーム。ホイールはレネゲード製をチョイスする。

BUILDER’S VOICE

KEN’S FACTORY

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