ハーレーのカフェレーサースポーツスター 2006年・ケンズファクトリー

H-D XL1200 2006
KEN’S FACTORY

March 17th, 2021

真打をもてあます
入れ子のダブルキャブ

「作るきっかけ? いや、カフェレーサー作ろうかって。それでまあ元々のこの辺(※シートレイルを触って)って凄い広いやん、ラバーマウントのスポーツスターって。あれカッコ悪いなって言ってて、じゃあスッキリさせるついでにサスも組もうかって」

ハーレーのカフェレーサースポーツスター 2006年・ケンズファクトリー

名古屋の『ケンズファクトリー』によるカフェレーサーだが、均整の取れたスタイリングはあくまで呼び水に過ぎず、テクニカルな作りにこそ海外でも美名を馳せる手の内が炸裂する。

まずモノサス化だが、単にサスを内蔵するだけでは芸がない。そこで代表の永井さんは、リンクを介してサスを稼働させることを着想。純正スイングアームの上にオーバル型パイプを新設して、そのパイプの上下運動がリンクと連携してサスを動かすように設計している。

ハーレーのカフェレーサースポーツスター 2006年・ケンズファクトリー

一方、外装である。ガスタンクとシートカウルはアルミを叩き出して成形したもので、フロントからリアへの滑らかなスピードラインを基調にととのえられている。またそれだけでなく、タンクにはスリットや立体的な3Dデザインを取り入れ、存在感を増長。いかにもではないその慣熟したさり気なさがかえって輝きを増す。

そして勿論、ラバーマウント化によるヒビ割れ対策なども織り込み済み。これらキレた物作りと走りの順応が同店のカスタムマナーだ。

ハーレーのカフェレーサースポーツスター 2006年・ケンズファクトリー

さて、メインディッシュにかかろう。ダブルキャブをセットアップしたエンジンである。一見すると見逃してしまいそうなほど自然な装いだが、リアエキゾーストの付け根を今一度確認したい。どうも様子がおかしいことに気付くはずだ。

「キャブはフロントはそのまま。だけどインテークを左に出したかったから、荒いけどインテークマニホールドをヘッドに溶接したったんやけどね。でリアはヴィンテージのバルブのシートから打ち替えしてる。ちゃんと燃焼室も考えて、ひっくり返した」

ハーレーのカフェレーサースポーツスター 2006年・ケンズファクトリー

通常、後ろがエキゾーストだがそれをフロントへと移行。エキゾーストのバルブシートを前側へと移し替え、入れ子としている。それはフロントに2つ持ってくるとプッシュロッドの角度や位置関係が上手くいかないためで、内部で改造した方が早いことから再構築。皆、高位の次元で措置された。

ハーレーのカフェレーサースポーツスター 2006年・ケンズファクトリー

セル一発で安定したアイドリングを刻み、クラッチをミートすれば何の違和感もなく快活に走り出すカフェレーサー。やってる途方もない内容と乗り心地が、豊かに同居した一台。

H-D XL1200 2006 DETAIL WORK

カフェレーサースポーツスターXL1200 2006年のガスタンク

GAS TANK

タンクはアルミを叩き出して成形したもの。スリットや3Dデザインに加えてラバーマウント化も怠らない設計。

カフェレーサースポーツスターXL1200 2006年のキャブレター

CARBURETOR

ミクニTMRキャブをダブルで装着。見た目だけではないスムースで安定した走りを確保したセットアップ。

カフェレーサースポーツスターXL1200 2006年のリアショック

REAR SHOCK

ビチューボ製ショックはモノサス化してシート下に収納。スイングアームからのリンクを介して稼働する作り。

カフェレーサースポーツスターXL1200 2006年のフットコントロール

FOOT CONTROL

ワンオフのフットコントロール周り。操作性を担保したアルミ削り出しの各セクションは機能美で飾られる。

カフェレーサースポーツスターXL1200 2006年のシートカウル

SEAT COWL

同店の『色』が描出された流れるようなラインで製作されたアルミ製シートカウル。テールライトは2連装着。

カフェレーサースポーツスターXL1200 2006年のスイングアーム

SWINGARM

純正スイングアームの上側にオーバル型パイプを造作。このパイプの上下運動がリンクを介してサスを稼働する。

KEN’S FACTORY

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電話 052-354-6122
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