SUZUKI VAN VAN RV200
A BEARD
長い蜜月期を経て放つ
ファットな痛快スウィート
広島に根をおろし、’90年代のカスタムブームから今なお、個性あふれるマシンを製作しては我々に新たな提案を見せてくれるビアード。独創的で、どこか愛嬌のあるスタイリングは同店の真骨頂だ。
今回のベースとなったバイクはスズキのバンバン200。ビアード代表の上田氏は、このモデルに深い思い入れがある。
「僕はこのバイクが好きでね。ときどき無性に作りたくなるんです。うちは昔からスズキと取引があって、これが出た当時はホイールやロンスイ、バッテリーケースなんかを作ってライトカスタムやコンプリートを新車で作っていたんです」
時代はTW全盛期。前後ホイールともTWと同サイズだったバンバンは、スズキからリリースされた格好のカスタムベースだった。上田氏はその好機を捉え、先述のようなビアードオリジナルのカスタムパーツを続々とリリース、ヒットを飛ばし、広島から全国にその名が知られる存在となった。数多のカスタムバンバンを手がけてきた上田氏は、このモデルを熟知しているのだ。
さて、今回のマシンである。何よりも目を引くのは、そのファットな前後タイヤ。「このタイヤがリリースされた時に、長年温め続けてきたこのスタイルに着手しようと決めた」、と語る上田氏。ノーマルは18インチのFホイールを、リアと同じ14インチに変更。このスタイルは’70年代にリリースされ人気を博した初代バンバンを彷彿とさせるものだ。
「初代バンバン90のカスタムもやったんですが、あれを作っている時も楽しかった。やっぱりこの図太いタイヤが好きなんですね」。先代バンバンへのリスペクト。モノサスから先代と同じ2本サスへと変更されているあたりにもそれは感じられる。
ストレートな軌道を描くエキゾーストも注目すべきポイント。パイプができる限り内側を走るようにと、フレーム側をリメイク。このあたりに、同じくワンオフ製作された電装ボックスやシートレールなど、メタルワークを得意とする上田氏の発想とワザが注ぎ込まれる。
実に精悍で均整のとれた一台。しかし最大の魅力は『楽しい』こと。「太いタイヤって機能性は落ちるんですけど、一度オフに入れば轍もそのまま走ってしまえる走破性もあるんです。楽しいバイクですよ、これは」、と上田氏は目を細める。
取材前日、あるイベント会場でこのマシンを駆る氏の姿を見た。オフロードを悠々と軽快に駆ける姿は実に痛快で、氏の言う『楽しい』は、その表情にありありとあらわれていた。
(写真・文/マツモトカズオ)
SUZUKI VAN VAN RV200 DETAIL WORK
FRONT SIDE
ヴィンテージルックなF周り。ペイントはシックスシューター。ソリッドのブルーグレーに赤いラインが映える。
TIRE
マシン製作の起因となったタイヤはあのブランドのレプリカ、Fuckstone。ブレーキ類などはストックを使用。
GAS TANK
タイヤと共にマシンのファットなイメージを作り上げるKENZ製アルミタンク。ボルティ用を加工して取り付け。
SEAT
シート製作はスタッキー。タンクやタイヤと合わせファットな雰囲気に。電装ボックスにはスタータースイッチ。
MUFFLER
フレームの外側に配置すると火傷するからと、極力車体の内側に寄せたエキゾースト。フレームの加工に注目。
REAR END
Rサスは250TR純正。整備性を考えバッテリーはスイングアームの隙間。Rフェンダー、ステップはワンオフ。
BUILDER’S VOICE
A BEARD
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