
HARLEY-DAVIDSON FLH 1982
BOOTLEG
一周して辿り着く
スタンダードの夜会
一周して良いバイクだ。例えば、「これからチョッパーを買うぞ!」と胸躍らせてる人に刺さるスタイルでは決してない。煌びやかでもなければトレンドを追ってるわけでもなく、どうにもこうにも玄人受けしてしまうやつである。いろんなバイクをぐるっと見てきた中で落ち着くスタイル。なので、惹かれる人は自然と、歴の長い舌の肥えた愛好家に限られてくるはずだ。

製作は、埼玉のブートレグ。合点がゆくショップだ。なにせ店主の菊原さんは、今でこそダイナ系のハイスピードスタイルを推し進めるが、そもそもは経験豊富な叩き上げのビルダーである。この手のスタイルをリアルタイムで扱ってきた氏が、自らが一周して一息ついたバイクであろうことを想像すればなんら不思議はない。

「FLHはナセルが好きなんですけど、そのままだと野暮ったいし大きいからまずはローダウンしてフロントを21インチにしてる。タンクはショベルの3.5ガロンを付けて、左右出しのマフラーにエイプハンガー。昔のチョロスタイルのノリが好きなんですよ」
メキシコ系アメリカンのチカーノが好んだスタイルと、常に斬新なカスタムが生まれた’80年代の野暮ったいFLのフォルムに影響を受けて作ったと言う。

フロントホイールはチョロスタイルに倣った21で、リアは16インチ。リアフェンダーは年式通りの後期タイプだとヒンジ無しの一体型になってしまうためこれを嫌い、前期のヒンジ有りを選択。ローダウンした時の見た目が全然違うことからココは譲れない箇所だった。

リアのスポークホイールも、おそらく見た人の1割も気付かないであろう40本から60本に変更。あからさまな80本や120本は問題外で、この『通』向け仕様が同店の美学でもある。そして、待ってましたのネスPMキャリパー。氏が大切にあたためていた秘蔵のレアパーツをここぞとばかりにセットアップ。分かるやつだけいらっしゃい的ニクイ演出が震えるほどにいなせだ。

タンクは5から3.5ガロンに換え、メーターダッシュはサイズ感が見事なパンヘッドの後期タイプを装着。更に、純正ナセルのフォグランプもショベル用はごつくて不格好ゆえに、パンヘッド用を内側に押し込んで固定。最後は、当時の砂型のモーリスマグネトーキットである。この、何てことないスタイルの中に、ビルダー菊原さんの世界観はいじらしいほどに炸裂。「やり過ぎないのが良い」、と全体のシルエットを見極めた上でととのえる味付けはやはり、一周しないと分からない。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1982 DETAIL WORK

HEAD LIGHT NACELLE
ナセルは純正を使い、フォグランプはパンヘッド用を流用。そのままでは外側に広がるため内側に絞って装着。

GAS TANK
純正の5ガロンから3.5ガロンへ。メーターダッシュはパンヘッドの後期型に変更。ペイントは王道のフレイムス。

MAGNETO
当時の砂型のモーリス製マグネトーキットをセット。アルミ砂地のレプリカボードはポリッシュして仕上げる。

CALIPERS
菊原さん秘蔵のパーツである『ネス&PM』の夢のダブルネームキャリパー。スポークはステンレス製の40本。

REAR FENDER
ローダウンした時の印象が全然違うことから、後期の一体型ヒンジ無しではなく前期のヒンジ有りタイプに変更。

MUFFLER
マフラーは左右出しのフィッシュテール。違和感なくフェンダー後端と合わせた絶妙な長さはさすがと言える。
BUILDER’S VOICE
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