HARLEY-DAVIDSON FLH 1979
RISE ENGINEERING
手数を押さえ込む
深緑のダンディズム
「オーナーさんは古くからのお客さんで、ほとんどお任せみたいな感じでした。ただ、一つだけあったのは、フロント周りのファットな要望ぐらいですね」
オープンして3年と、ちょうど安定感の出る時期に突入した北九州のライズエンジニアリングによる’79年式FLHだ。比較的自由に扱わせてもらったと言う一台は、GCB製倒立フォークと16インチホイールからなるボリューミーなフロントエンド以外、店主中田さんの趣味がそこかしこに落とし込まれている。
「よくあるオールドスクールのスタイルだったけど、去年プライマリーをオープンにしたのをきっかけにガラッと雰囲気を変えました。セルスタートを付けたかったから後付けのテックサイクル製のを取り付けて、そのままタンク、シート、リアフェンダー、マフラーを触っていった」
カスタムは、フロントのボリューム感に合わせてすべてのバランスを取っていったそうだ。まずタンクは、倒立フォーク特有のワイドな幅を基準にして成形。フォーク幅より左右に出っ張ることなく、また、かといって細過ぎないようにも配慮して、純正3.5ガロンタンクをベースに加工した。
タンク下部とエンジンロッカーボックスとのクリアランスを指1本入るかどうかのギリギリまで落とし、尚且つ、ロングを走るオーナーの乗り方を踏まえタンク容量を12リットル弱確保した上でフォーミング。真ん中で分かれたセパレートタイプは、片側4ピース、全8ピースの鉄板で製作されている。そして、セパレート部分を覆うアルミプレートのスタッズも見もので、旋盤でひとつずつキノコ型に削った物を、穴を開けたプレートに差し込んで溶接していくという手の込んだ作りだ。
オイルタンクも一見素知らぬ顔だが、その実、鉄板一枚からのワンメイクである。というより、後付けのセルモーターを入れるとなれば既存のオイルタンクでは絶対的にスペースが足りなくNG。裏側をかなりえぐってやらないとすんなり落ち着かない箇所である。しかも、そうすると容量がどうしても少なくなるので、そこはオイルクーラーとレギュレーターマウントの下にフィルターを用意することでカバー。造形的に、シートレールより出っ張らないよう上手く収めるだけじゃなく、それなりの経験値を要したパートでもある。
さて、完成した一台はどうだろう。不思議と、心落ち着く佇まいだ。限りなく黒に近いダークグリーンの色合いもそうだが、手数に反して、最小限に押さえた作り手の主張もまたいじらしい。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1979 DETAIL WORK
FRONT FORK
唯一のオーダーはファットなフロント周り。そこでGCB製倒立フォークとPM製16インチホイールをセットする。
GAS TANK
純正3.5ガロンタンクを惜し気もなくチョップ。ほんの僅かなパートを残して全8ピースの鉄板をつないで成形。
ENGINE
綺麗に磨かれたエンジンはストックでEキャブをセット。カバーにFORKの3Dラウンドエアクリーナーを装着。
OPEN PRIMARY
前側のベルトガードもタンクプレート同様に製作。クラッチドームは鋳物メーカーFORK×SHIUNのコラボ品。
SEAT
社外のリアフェンダーはタンクボリュームとの均衡を計ってショートカット。シートは程よい肉厚でワンオフ。
REAR END
リアもフロント同様PM製ホイールをチョイス。ナンバーステーの造形も同じくタンクプレートを踏襲したもの。
BUILDER’S VOICE
RISE ENGINEERING
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