KAWASAKI W650
BRAT STYLE
ループフレーム加工ありきの
英国ビンテージ・スクランブラー
カワサキW650。1999年にリリースされたこのバイクは、さかのぼれば英国BSA社のA7を起源としたWシリーズの完結モデルである。そのため、国産車でありながらもどこか英国の雰囲気を漂わすクラシカルなフォルムで人気を集めている。
東京都北区のブラットスタイルがカスタムベースに使用したのは、そのW650。同店では慣れ親しんだベース車両のため、一切の作業はお手の物である。そしてコンセプトは、『ブリティッシュバイクのビンテージ・スクランブラー』。元々相性の良い英国車の、当時のテイストを演出すべくカスタムは進められた。
全体のスタイリングは見ての通り、見事なバランス感覚でまとめられる。このマシンバランスに関しては技術云々ではなく、作り手の感性のみが決め手だ。これは、ストリートカスタムにおいてその名を知らしめる、ブラットスタイルだからこそ成しえるシルエットだと言えよう。
では、細部を見ていこう。今回最も注目すべきポイントは、シートレールとループフレームだ。タンク後部を起点にして、シート後部まで一直線のラインで繋がっているシートレール(シート下のフレーム部分)は、「ノーマルの状態ではくの字に曲がっていて綺麗なラインが出ない」との理由からすべて作り直されている。一見しただけでは分かり難いが、地面と水平のラインを出すために細心の注意が払われた箇所だ。
そして、このシートレールのエンド部分を、同店が昔から得意とするループフレーム加工(左右を輪っか状パイプで繋げる)でまとめている。この、一番初めに目につく外装ではなく、あくまでも地味な存在のシートレール周りに力点を置くことで、結果的には狙い通りのスタイルを達成している。
「当時のトライアンフやブリティッシュバイクが持っていたフレームラインをWで再現している。そうすることで初めて、ビンテージ・スクランブラー風に出来るんです。あとは、メインフレームが角パイプなんであまりそこが目立たないように作るとか、いかに古っぽく見せれるかに気を使っています」
代表の高嶺さんの右腕として店長を任される三枝さんは言う。また、角パイプを目立たせないようにどうしているのかについても聞いてみた。
「フレーム自体には特別な処理はしていません。バイクを見た人がその部分に目がいかないような作りを心がけている。つまり、他のパーツに目がいくようにするということ。そのためには、その箇所が見る人にとって釘付けになるようなインパクトがないといけないんです」
全体のバランスは言うまでも無く、三枝さんの言葉を借りれば、要所要所がインパクトのある作りで構成されたW650である。そしてその佇まいからは、当時のブリティッシュ・スクランブラーを思わすテイストがありありと漂っている。
KAWASAKI W650 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルは同店オリジナルのKARATEバーを装着。ビンテージライクなアーチ形状が見事なマッチングを見せる。
GAS TANK
車体バランスに合わせたワンオフのガスタンク。ブラックベースにレッド&ホワイトのシンプルなペイントが映える。
ENGINE
エンジン造形にこだわり開発されたモデルなだけに存在感はかなりのもの。ヘッドのブラックカラーがよく似合う。
REAR VIEW
得意のループフレーム加工を施したリアビュー。フラットフェンダーにスパルトテールライトがセットされる。
MUFFLER
マフラーは同店の人気商品であるメガフォンマフラーを装着。ルックス、音質共にファンの間で広く支持されている。
REAR WHEEL
ホイール周りをブラックで統一し引き締めた印象に。FIRESTONEのホワイトロゴがより強調されている。
BUILDER’S VOICE
BRAT STYLE
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