KAWASAKI Z750T
MOTOR GARAGE GOODS
時流にコンタクトしない
ブルーライトニング
ベース車は、奇をてらった1976年式のカワサキZ750Tである。シリンダーヘッドの形状がかつての名車Z650に似たDOHCの2気筒モデルで、当時人気を博したZ2(Z750RS)の影で一部のファンに愛されたバイクである。
「うちでショーバイクを作るのに、ベース車をどれでいこうか話していた時にこれにしようと(笑)。ハーレーだとありきたりだから、何か国産車で迫力のあるやつがないか探していた時にハマったのがこのZ750Tだったんですね(笑)」
店長の松岡さんは、約8年前に製作したカスタムを前に、淡々と、柔和な笑顔を崩すことなく話を進める。
「コンセプトは、リジッドフレームを1から作るということでした。あと外装をほぼワンオフした点で、そのまま使ってるのはエンジンとフロントエンド、リアホイール、ブレーキキャリパーといったところぐらいですね」
ショーバイクとして手掛けたフルスクラッチゆえ手加減は無い。まず肝心のフレームは、パイプの継ぎ目を見れば分かるように、敢えて鋳物感を演出した細やかな芸が施されている。そこに程よくエッジの立ったガスタンクと、スチールで成形したリアカウルをマウント。バランスの良い配置によりボリューミーな外装が統一感を持ち、グッと精悍な印象を与えている。
前後は21/16インチでフロントのみ21インチに換装された。そして、それを支持する純正フォークをローダウンして表面をスムージング。ハンドルはインナースロットル化されたワンオフである。
「マスターシリンダーがハンドルにあるとゴチャッとするんで、ダウンチューブとエンジンの間に移行してます。それをワイヤー引きにして、レバーを握ってマスターを作動させてます(笑)。ハンドルをスッキリさせたかっただけなんですけどね」
フットコントロールとマフラーもワンオフで、パーツメーカーとしての顔を持ちながら自社製品を使わずにメイクしていることからも、当時の、このマシンに向けた熱量が伝わってくる。
ブルーのキャンディフレークをベースにしたグラフィックに、アクセントに効くピンクのピンラインも自社のペインターが担当したという一台は、「外注に出したのは多分……メッキぐらいちゃいますか」、と記憶を辿る。
パーツメーカーとしての技術や先見の明をバックボーンに持ったショップによるフルスクラッチビルド。このZ750Tは、カリフォルニア州ベンチュラで開催されたH-Dディーラーショーでベストオブヴィンテージを獲得した、本場ハーレーファンの琴線にも触れるマシンである。
KAWASAKI Z750T DETAIL WORK
HANDLE
ワンオフのハンドルはインナースロットル化。マスターシリンダーも移設することでクリーンなフォルムを入手。
FRONT FORK
純正フォークを使いローダウンしてボトムケースをスムージング。ライトステーの造形にも手抜かりは無い。
GAS TANK
トップにエッジが立つように製作したタンク。キャンディフレークに入るピンクのピンラインがひと際映える。
MASTER CYLINDER
ダウンチューブとエンジンの間に移行。レバーを握ってワイヤー引きを作動させるアナログな仕組みとなる。
REAR COWL
鉄板で成形したシート一体のリアカウル。スピード感あるシェイプに鮮やかなペイントワークが厚みを持たす。
MUFFLER
ワンオフのマフラーを装着し、シンプルなステップをマシンに違和感なく調和させる。必要最低限の造形が光る。
BUILDER’S VOICE
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