
TRIBSA(TRIUMPH & BSA) 1951
BUDLOTUS MOTORCYCLE
創造を重ねてきた
一心な先人からの潤い
古くは戦国期から現代まで、山口県は日本全土に渡って大きな影響力を持ってきた土地である。これまでに、最も多い8名もの総理大臣を輩出している県であることからもそれは自明だろう。

カスタムシーンで見れば、山口県を語るときに抜きんでた名声を誇るのが『バドロータス』だ。チョッパースタイルを中軸にした店主福永さんによるカスタムワールドは長年支持者の心をつかんで離さないが、それは時に今回のような、チョッパーとはまた違った隠し玉を持ち合わせた器量も関係している。

1935年式BSAのフレームと、1951年式トライアンフ3Tの350ccエンジンを組み合わせたスペシャル。世の好事家の間では『TRIBSA(トリビザ)』の通称で敬意を持って愛される希少なスタイルを、福永さんはオーナーの熱心な要望を受けて具象化した。
「BSAを持っていたオーナーがトライトンを手に入れたんです。でも2台あっても結局乗らないから1台にしようと。それでその3TのエンジンをこのBSAに載せたっていうカタチです」

当然そのままエンジンが載るはずもなく、フレームにはほぼ手を加え、要所にスペーサーをかませてジャストに調整。普通ならあまりやりたくないレベルの話ですと笑う氏は、支障なくエンジンを収め、難解な仕事をまっとうした。
次に外装。同店の手慣れた領域だけに、その作りも勘所を抑えた一品群で構成される。まずガスタンクは、白色で隔てた箇所のフチに丸棒を溶接し、周囲の黒色部分をモールディングで成形。
リアフェンダーも同様に、オーソドックスなステーを造作した後にフェンダー上面にはまる部分に丸棒を添えてモールディング。わずかな厚みをもたせることでクラシカルな雰囲気に奥行きを持たせている。

一方、BSA純正のフォークはそれまでの柔らか過ぎたスプリングを交換し、ホイールは元々トライトンに付いていた前後18インチをそのまま装着。
そして、マフラーがまた肝(きも)である。当初はアップスタイルを予定していたが、エンジンをマフラーで隠したくないとの要請を受けて、全体が見えるようにエンジン周囲を擦れ擦れでライン取り。苦労の跡を残すことのない威が備わったパイプワークが良質なハーモニーを奏でている。

全体を俯瞰してみると、このマシンは比較的落ち着いた、滑らかなものだ。『バドロータス』固有のドラマ性は同じように維持されているが、前のめりな印象は薄れ、準古典的な落ち着きを見せている。でも、それがかえって潤いを増している。
TRIBSA(TRIUMPH & BSA) 1951 DETAIL WORK

HEAD LIGHT
カスタムの印象を決定付けるヘッドライトは横にオフセットさせて装着。クラシカルなテイストを高めている。

FRONT FORK
フォークはBSA純正をそのまま採用。当時物のスプリングのみ変更し、オーソドックスなボバースタイルを演出。

GAS TANK
ガスタンクの白色部分のみ段を入れたデザインに。フチに鉄棒を添わせて、黒色部分全体をモールディングする。

MUFFLER
エンジン形状を隠さないことを前提にマフラーを製作。本体に干渉せずにうまく交わしたパイプワークで構築。

FOOT CONTROL
トライトンの名残である一式をそのまま使用。バックステップを前側に移動し、それに合わせシフトステーも延長。

REAR FENDER
タンク同様にフェンダーもモールディングで立体感を出す。要所にクラシカルな真鍮のブラスネジを用いる。
BUILDER’S VOICE
BUDLOTUS MOTORCYCLE
| 住所 | 山口県岩国市周東町西長野142-1 |
|---|---|
| 電話 | 0827-83-0432 |
| FAX | 0827-83-0433 |
| SHOP | BUDLOTUS MOTORCYCLEのショップ紹介 |
| 営業時間 | 11:00 ~ 19:00 |
| 定休日 | 月曜日 |

H-D FLH 1980
H-D XLH1200S 2003







