トライアンフ T120R ボンネビル1969のカスタムチョッパー

TRIUMPH T120R BONNEVILLE 1969
LIBERTARIA

September 1st, 2016

それとない表情とは裏腹の
オーバーリッチなメカニズム

トライアンフに特化したショップのリバタリア。同店は代表の藤久さん自らがロードレースに参戦する生粋のレースフリークであり、また、そこで得たノウハウを日々の業務にフィードバックするテクニカル面に強い店である。

オーナーの要望により、ノーマル然とした佇まいに仕上げられた1969年式T120Rボンネビル。しかしその実、内燃機はリバタリアの真骨頂とでも呼ぶべきホットな仕様が与えられている。なにせクランクからして既にレース用がインストールされ、ヘッド周りはポテンシャルを最大限に引き出すべくチューンアップ。まだ改良の余地があるとはいえ、レース用のタイヤさえ履けばそのままサーキットを走れるレーサーになるのだ。

トライアンフ T120R ボンネビル1969のカスタムチョッパー

では、もう少しこのエンジンについて掘り下げていこう。まず今回使ったクランクだが、これは今は亡きアメリカ人のジム・ギブロワイトという人物が作ったものである。彼はかつて日本のオートレーサーのチューナーだった人物で、縁あって藤久さんがそのクランクを手に入れて、それで今回の一台を組むことになったわけだ。とはいえ、常にスロットル全開のオートレースと、頻繁に開閉を繰り返すロードレースとではエンジンの性格が違うため、そこの改善から着手した。

ピストンは、熱心なトライアンフファンの間では広く知られた存在のプライベーター、山田さんが手掛けた物を使用。そして一からすべてバランシングをとり、入念なセットアップが計られる。更に、今回使ったオートレース用はオルタネーターが付かないタイプなので、それが付くようにクランクシャフトにSUS(ステンレス鋼)でスタッドボルトを作り、シャフト側にメネジを切って対応。

トライアンフ T120R ボンネビル1969のカスタムチョッパー

「普通ポイントだったりフルトラ点火でスパークさせるのが一般的ですが、このバイクはフライホイールマグネット形式というオルタネーターで全部まかなう仕様に改造している。だからポイント周りは空っぽで組める。こんな感じでまあまあ手が込んでるんですよ(笑)」

お次は外観だ。全体的にオーナーの意向でノーマル色が強いものの、必要最小限のモディファイで精悍さを増したスタイリングが見ものである。

トライアンフ T120R ボンネビル1969のカスタムチョッパー

前後18インチに、フロントフォークとツインパネルのドラムはチェリアーニ製を装着。もちろんこれらはポン付けというわけにはいかず、シャフトやトルクアーム、ワイヤーなどの周辺部位はワンオフされる。

リアのコニカルハブを装着するにあたっても、当時のスイングアームの形状を再現しないとスムーズに付かないため、何度も切って合わせてを繰り返して製作された部位だ。

バイク全体を見渡すと、こうしたそれとない箇所は枚挙に暇がない。この、ノーマルルックでありながら徹底的に手を加えたT120Rボンネビルは、涼しい顔をしているものの、中身はかなりオーバーリッチな一台なのである。

TRIUMPH T120R BONNEVILLE 1969 DETAIL WORK

トライアンフ T120R ボンネビル1969のヘッドライト

HEADLIGHT

リムの外周とシェル側のサイズがツライチの、絶妙な形状のヘッドライトは5-3/4のビンテージアイテム。

トライアンフ T120R ボンネビル1969のハンドル

HANDLE

ワンオフハンドルに、スミスのクロノメトリックを装着。リアホイールではなくミッションから計測出来るように加工される。

トライアンフ T120R ボンネビル1969のマッチボックス

MATCH BOX

ヤマハTZのマッチボックスを流用してワイヤーの引きしろを調整。1本から2本に分岐して同調を取る仕組みとなる。

トライアンフ T120R ボンネビル1969のエンジン

ENGINE

フライホイールマグネット形式のボンネビル650。レース用クランクを組み込み、ヘッドチューニングを施したレーシング仕様。

トライアンフ T120R ボンネビル1969のクラッチ

CLUTCH

ボブニュービーレーシング製クラッチを入れ、ビンテージのカバーには放熱性を上げるため穴開け加工を施している。

トライアンフ T120R ボンネビル1969のハブ

HUB

コニカルハブを使うため、スイングアームを当時の形状に倣い加工。切って合わせてを繰り返して仕上げた労力を要した部位。

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