HONDA CBR400R 2016
A BEARD
胸をざわつかせる
エモーショナルな感情
広島県廿日市市。その地で長年令名を馳せる『ビアード』のカスタムの引き出しは、色彩に満ちている。カフェレーサーやトラッカー、チョッパーなど手掛けるカスタムスタイルはひとつ所に留まらず、いつも作り手の感性が振れた方向へと舵を切り、そこから目いっぱいにスピードを付けてロマンなる目的地へと滑走してゆく。
肝心なのは、楽しいこと。作業していく上で、自然と自身の息が弾んでしまうような、何をするにもそればかり考えてしまうような、とっておきの夢中が原動力にある。
「このレプリカ系のバイクはいま部品代が上がってて、ひと転びしたらもう4、50万円の世界なんですよね。そこで、だったらこういう峠を攻めないでコーヒー飲みながら楽しめるカスタムもあるよって。こういうのも良いんじゃないですかっていう発想ですね」
普段からスピードを出すユーザーの修理を機に始まったカスタム。ベースはCBR400Rで、いわずとしれたホンダのレーシングスピリットを色濃く継承するモデルだが、それを既定路線で改良するのではなくカフェレーサースタイルへと順化させたマシンだ。
まずカウルは、市販品を用いるものの装着位置の高さや角度を煮詰め、ようやく落ち着かせた渾身のパートである。納得ゆくまで作ってはやり直しての繰り返しは同店の変わることないスタンスだが、ガソリンタンクも同じように妥協せず向き合ったパートだ。
「作っては下がって見て、『いやあもうちょっと位置は下かな』って。良いんか悪いんかそこにもう一人の僕が出てくるわけですよ。『それだとカッコ悪いからダメ』って(笑)。じゃあっていうんでやり直していってこういうラインが出来たと」
燃料ポンプ付きのガスタンクを加工することはつまり、難題がひとつ増すことでもある。イメージした極力ローデザインのフォルムにポンプも内蔵。デザインと機能を両立させた内部の空間構成に頭を悩ますものの、それは氏にとって苦というより『楽しさ』のひとつでもある。
そしてこのマインドが、厚紙から型取って作ったサイドカバーやマフラーステー、ステップ周りといった全方位に浸透。あらゆる方向から作り手の『楽しさ』がぴょこんと姿を覗かすバイクには、何か理屈抜きの純度の高い求心力がある。
「最終的に出来上がって、下がって見てみてひと言。よく出来ましたって(笑)。今後はまだ模索中ですけど、またピッと来たらすぐ作りますよ」
HONDA CBR400R 2016 DETAIL WORK
FRONT COWL
市販のカウルを使用するが、装着箇所には考察を重ねた。取り付けては見てを繰り返して納得の位置にマウント。
HANDLE
カフェレーサーの代名詞的なサンセイレーシング製セパレートハンドルを選択。フォークは正立タイプとなる。
GAS TANK
後方へ下がるシルエットのガスタンク。トップパネルを極限まで下げて、タンク内後方に燃料ポンプを巧く配置。
FOOT STEP
ワンオフのフットステップ周り。金属の質感がアクセントのステップステーはシンプルながら特色あるセクション。
MUFFLER
エキパイを単一で用意し、サイレンサーにスーパートラップを装着。マフラーステーもステップ同様の図案で製作。
SEAT COWL
ワンオフのシートカウルとサイドカバーは鉄板を叩き出して成形。柔らかな丸みを持たせたデザインとした。
BUILDER’S VOICE
A BEARD
住所 | 広島県廿日市市住吉1-2-55 |
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電話 | 0829-32-5644 |
FAX | 0829-32-5144 |
SHOP | A BEARDのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 第1、3火曜日 |