ホンダ XR600 2012年のチョッパーカスタム

HONDA XR600 2012
DOUBLE MOTOR WORKS

June 27th, 2017

オフ車を変電した
濃縮のソリッドメタル

5年前のカスタムショー、JOINTSで目にした時から、濃く記憶に残っていたショップである。いったい何がベース車なのか見当もつかない、徹底的に手が加えられたフルスクラッチ。ハンドメイド特有の質感を持った造形美は、ハーレーカスタムが多数を占める空間の中でひと際異彩を放っていた。

ホンダ XR600 2012年のチョッパーカスタム

そして、遂に5年越しの対面である。聞けば、エンジンはホンダXR600のレーサーをボアアップした650ユニット。外装は、ベースが何かを聞くこと自体野暮な、当時のダブルモーターワークスのありったけをぶち込んだオンリーワンだ。

ホンダ XR600 2012年のチョッパーカスタム

「テーマは、速く走れるチョッパーですかね。一番はエンジンのパワーがあること。あとは、作り物に対するこだわりは特にないんですけど、毎回やったことのない手法を取り入れようと思ってます」

このバイクでは、フレームのラグ風処理がそれにあたる。フレームパイプのつなぎ目すべてに施したラグ加工は、あらかじめラグを製作しておいて、それをふたつに割ってパイプを挟む形で固定したものだ。ラグにパイプを差し込んでいくのではなく、サンドイッチにすることでこの新たな試みを形にしている。

ホンダ XR600 2012年のチョッパーカスタム

「ラグの鋳物風の質感はエアーチゼル針みたいな、半自動のスパッタを落とす工具があるんですけど、それを当てるとこうなるんです」

半自動溶接とは切っても切り離せないスパッタ(※溶接時に飛散する金属)からのアイデアは、かつて実家の溶接屋で腕を磨いた店主若林さんならではの発想だろう。次は、ステンレスの2 in 1マフラーだ。

ホンダ XR600 2012年のチョッパーカスタム

サイレンサーが中に二つ入った構造で、デザイン性の高い『8』の字型フォルムが目を惹く。これは、パイプを半分に切って、そこにまた半分に切った別のパイプを裏っ返して繋げたものだと言う。こうして常に新たなメソッドを取り入れ物作りをする氏だが、そのどれもが外しの無い洗練された完成度を誇る点も見過ごせない。

ホンダ XR600 2012年のチョッパーカスタム

見所はまだまだある。フロントのbremboキャリパーサポートやステップのステー/リンケージなどは鉄の無垢材から手作業で削り出した渾身のパートだ。更に、ホイールは前後にホンダV45マグナのフロント用を使うが、センター出しやローターの取り付けは一筋縄にも二筋縄にもいかなかった難所だった。

とにかく、強烈。ポロシャツをさらっと着こなす爽やかな店主からは想像も出来ない、鬼気迫るディテイルの数々。5年ぶりの衝撃は、笑えるほど身に堪える。

HONDA XR600 2012 DETAIL WORK

ホンダ XR600 2012年のフロントフォーク

FRONT FORK

フォークはホンダTL50バイヤレス用をスムージングしてポリッシュ。bremboキャリパーサポートはワンオフ。

ホンダ XR600 2012年のフットコントロール

FOOT CONTROL

ハンドメイドならではの温かみあるセクション。鉄棒をひとつずつ削り出して成形。リンケージまでが美しい。

ホンダ XR600 2012年のオイルタンク

OIL TANK

造形に配慮した手曲げのオイルライン。シート下のキャッチタンクからブローバイガスがキャブに戻される。

ホンダ XR600 2012年のラグフレーム

LUGFRAME

フレームパイプのつなぎ目はラグ風処理。事前に用意した、独特の質感を醸すラグをパイプに挟み込んで固定。

ホンダ XR600 2012年のマフラー

MUFFLER

フレームはニッケルメッキ加工。ステンでワンオフした『8』の字型マフラー。エンドキャップは削り出しの逸品。

ホンダ XR600 2012年のリアエンド

REAR END

スイングアームはワンオフ。ハーレー用スプロケブレーキシステムを採用。ホイールはV45マグナのフロント用。

BUILDER’S VOICE

DOUBLE MOTOR WORKS

住所 長野県千曲市雨宮420-3
電話 026-217-3749
FAX 026-217-3789
SHOP DOUBLE MOTOR WORKSのショップ紹介
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