YAMAHA SR500 1997
LAMP CYCLE
NYのローカルレースに見た
前衛的フラット・トラッカー
昨年の横浜ホットロッドカスタムショー。福岡の『ランプサイクル』が持ち込んだのは2台のSRカスタムだった。一台は同店の得意とするストリート映えするスタイル。そしてもう一台が、今回紹介するマシンだ。佇まいで分かるだろう。そのマシンの主戦場は、ストリートではなくレーストラックである。
「2年前ニューヨークに行った時、ローカルのレースを見に行きました。そこでSRとかXSが走っているのを見て、僕も作ってみたい、走ってみたいと思ったんです」
製作者の松隈さんは、元モトクロスレーサー。レースには造詣が深く、海外レースへの参戦経験も持つ。そんな氏が初めて目の当たりにしたフラットトラックレースはビルダーとして、またライダーとしてのハートに火を点けたのだった。
「以前から横浜のカスタムショーにレースバイクを出展したいと思っていました。ならば、やっぱりベースはこれまでカスタムを頑張ってきたSRで作りたい。これは自分がレースに出るための、自分用のバイクなんです」
フレームは純正ベースながら、ネック周りを除いて大幅に作り変えた。SRのアイデンティティのひとつであるオイルインフレームはSRの“持病”とも言える熱問題に対処すべく排し、別体のオイルタンクを製作。また、モノサスの方がレーストラックでも優位だろうと判断し、ノーマルのデュアルサスからモノサスへと仕様変更した。
レースに通じた知識は、随所に垣間見ることができる。スイングアームは純正を加工。1970年代のオフロード車『MAICO』のアールを描いたようなデザインにインスパイアされた部分で、10cmほど延長した上で曲げ加工している。
ブレーキはブレンボのカニキャリパー。フラットトラックの流儀に倣い、ブレーキはリアのみに装備された。
そしてタイヤは、どうしても使いたかったというフージャー製。前後19インチの設定がフラットトラッカーの雰囲気をより一層高めている。実際にレース参戦を見据えた『本気のレーサー』スタイルだ。
その一方で、エッヂの効いたデザインのゼッケンプレートや、リアエンドでその存在を主張するリアフェンダーなど、外装類のメタルワークにはカスタム屋としての同店らしさも見受けられる。
レースとカスタムが同居する、何ともユニークな一台。横浜のショーではストリートバイカーPickを受賞している。
「オーバル未経験だから、練習しないといけないなぁ」と笑う松隈さん。トラックでこのマシンを見る日が待ち遠しい。
(写真・文/マツモトカズオ)
YAMAHA SR500 1997 DETAIL WORK
HANDLE
北海道『ブルースモービル』製ライザーにトラッカーバー。グリップはプロテーパー製。車体色に合わせた選択。
OIL TANK
上下2つのパーツで構成されるオイルタンク。分割することで生まれる、循環による冷却効果を考慮している。
ENGINE
EGは500ccにボアアップ。短めのレングスに抑えたマフラーにはパワーボムを備え、トルクアップを図った。
SEAT RAIL
シート下のサブフレームは可動式でシート高のライポジ調整が可能。シート座面はバックスキンをチョイス。
BACK STEP
バックステップはワンオフ。ドリルドされたデザインがこのマシンのレーシーな雰囲気を更に加速させている。
SWINGARM
スイングアームは往年の名車MAICOに影響を受けた部分。Rサスは細身なデザインのマルゾッキ製をチョイス。
BUILDER’S VOICE
LAMP CYCLE
住所 | 福岡県福岡市早良区原3-19-25-101 |
---|---|
電話 | 092-834-5105 |
FAX | 092-834-5105 |
SHOP | LAMP CYCLEのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 火曜日 |